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法務とは?/ キャッシュワン

[ 442] 企業法務戦士の雑感
[引用サイト]  http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/

前の優勝の頃は毎月サッカーマガジン買ってたくらいヨーロッパに嵌っていたから、例のバイエルンミュンヘンとの試合もいまだ記憶に新しいし、ロナウドがベッカムの代わりにマンチェスターにやってきたのも、つい最近の事のような気がしていたのだが、とんでもない・・・(変わっていないのはファーガソン監督の存在くらいだ(笑))。
かつて「欧州」の代名詞だったセリエAは、いまやJリーグより観客が入らないリーグになっているし、レアルマドリッド、バルセロナ、バレンシア・・・とつい数年前まで欧州CLの上位を独占していたスペインもいまや激しい凋落を見せている。
イングランドのバブルが去った後にやってくるのは、ブンデスリーガの復興か、それとも・・・?ということをいろいろ考えると面白いのだが、どんなに時代が変わっても、そこにある“「頂点」を目指す戦い”の激しさ・美しさが変わらないのであれば、欧州の熱が冷めることはないはずだ。
もちろん、これだけ動きの激しい時代のこと、数十年後には世界最高峰リーグが「ロシア」や「中国」や「インド」になっていても、不思議ではないのだが・・・・。
「問題は6月2日に予定されたダビング10の導入開始が権利者側の反対で危ぶまれていることだ。北京五輪を前に店頭での販促材料にも使われており、新しい制度が始まらなければ、消費者を欺くことになる。」
「権利者側はダビング10を人質に法改正を促す構えだが、録画制限と補償金の議論は別だったはずだ。放送局側は予定通りダビング10を開始し、文化庁はデジタル時代を見据えた新しい著作保護の仕組みを考えるべきだ。」
これまで、この問題に対して強い関心を示していた日経紙であるが、記事のスタンスとしてはどちらかと言えば中立的な書き方でうまくバランスをとろうとしていたようにも見えただけに、ここに来ての明快な“援護射撃”には正直驚いている。
読者層を考えればこのスタンスで全く問題はないのだろうが、果たしてこの流れで世論を作れるかどうか?
なお、筆者個人の話をすれば、北京五輪が始まるからといって、デジタル録画機器を新たに調達できるほど優雅な生活はしていないし、仮に買ったとしても、ハードの容量が一杯になったときにムーブ1回できれば十分なので、イマイチこの議論の切迫感を理解できていなかったりもするのであるが・・・。
“鳴り物入り”でスタートしたこの雑誌も順調に第4号まで来ているようで、今月号の特集は大胆にも「今の弁護士に満足ですか?」。
リーズナブルな価格でボリュームたっぷりのあったか弁当。筆者自身も、かつては何度となく世話になった。
学生時代、上級生の居るキャンパスに手伝いにいった新入りの最初の仕事は、竜○門の近くの「ほっかほっか亭」で弁当を買ってくること。ゆえに、「ホカ弁」と言えば、我々のコミュニティでは“春の季語”であった。
昨年以来騒がれていたフランチャイズ分裂騒動は、とうとう行き着くところまで来てしまい、つい先日、関東近県のフランチャイズショップを運営する株式会社プレナスが、加盟店2000店を引き連れて「ほっともっと」ブランドを立ち上げている。
この騒動の経緯については、以前にも少し触れたが*1、先週、核となっていた紛争の一つである商標権侵害損害賠償請求事件の判決が、東京地裁で言い渡されている。
結果は、予想通り、株式会社プレナス側の敗訴、という結果に終わったのだが、商標の取扱いをめぐる実務を考える上で、いろいろと興味深い争点を含んでいるこの事件。
「持ち帰り弁当のフランチャイズチェーンのサブフランチャイザーである原告が、マスターフランチャイザーである被告に対し、被告の使用する2つの標章について、原告の有する4つの商標権を侵害すると主張して、不法行為に基づき、使用料相当額の損害賠償金4億0718万7000円の一部請求として9519万円及び・・・遅延損害金の支払いを求める本訴請求」
「被告が原告に対し、上記の各商標権について、黙示の使用許諾合意に基づき、・・・被告が無償の独占的通常使用権を有することの確認を求める」*3
本訴原告・プレナス側に付いたのは、ご存知、“四大”の一つである長島・大野・常松法律事務所。一方、本訴被告・ほっかほっか亭総本部側に付いたのは、新保克芳弁護士を筆頭とした仕事人集団である。
となっているのだが、被告側が、「ほっかほっか亭」創立以来の「黙示の許諾合意」を裏付ける諸事情を丁寧に説明すれば、原告側は、かつて吸収合併した訴外会社「株式会社ほっかほっか亭」の社内文書を持ち出して合意の成立ないし終了を争い、被告側が、商標法26条1項1号や、小僧寿し事件の最高裁判決を持ち出せば、原告側は26条の趣旨や信義則違反を掲げて争う、といった感じで、判決に要約された主張だけを見ても十分面白さが伝わってくるガチンコ対決だといえるだろう。
どのような法律構成をとるにせよ、同じ「ほっかほっか亭」ブランドの傘の下にいた同士である以上、一方が他方に対して商標権を振りかざす、というのは常識で考えればおかしい、ということはすぐにわかる話だろう。
歪んだ商標保有関係を放置し続けた被告側に落ち度がなかったとは言えないまでも、これで原告が勝ってしまうようだと、ちょっとそれはどうなの・・・?という声は当然上がってくるはずだ。
そのような中、ダイエーを中心としたグループ内商標管理のスキームや*5、15年近く前の部内業務資料等を援用して、事実レベルで“常識”を覆そうとした原告側には、敬意を表さざるを得ない。
「弁当の販売に際し、弁当とともに配布されて弁当の商品と一体となるものであり、あるいは、指定商品の「弁当」に関連する指定商品の「茶」、「カレー・シチュー又はスープのもと」、「調味料」として弁当とともに販売される商品であるから、商標法2条3項1号、2号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に該当するものと認められる。(20頁)
「その具体的な態様に照らし、いずれも個々の弁当の商品の宣伝や紹介を伴っていることが認められ、本件フランチャイズシステム自体あるいはその運営主体等だけを商品とは無関係に宣伝しているものということはできない。したがって、これらは、いずれも、「商品に関する広告、価格表に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法2条3項8号)に該当するものと認められる」(20頁)
「本件フランチャイズの加盟店の店舗は、持ち帰り弁当を商品として販売するための店舗であることが明らかであって、取り扱う商品がほぼ限定されるものであるから、この表示は、商品の出所を識別する機能を果たし得るものであって、弁当の商品に関連して使用されているということができる」(21頁)
・・・が、裁判所はこの点をあまり重視しなかったようで、続く争点に判断の力点を置くことになった。
裁判所は、「被告各商標権の使用許諾合意」の争点について、各商標の出願・登録・移転の経緯やフランチャイズ契約書の規定の存在、そして各商標の意義等を丁寧に認定した上で、以下のように述べている。
「この当時(注:商標登録時)、訴外会社も被告も、創業者であるA氏が支配株主となって代表取締役を兼ねており(略)、このような支配関係を前提とすれば、本件フランチャイズシステムを運営する被告においては、本件商標権1の権利者でなくとも、マスターフランチャイザーとして本件商標1を現実に使用することができれば構わなかったのであり、また、そのように使用させることについても何ら支障がなかったものというべきである。」
「その後の本件フランチャイズシステムの事業展開において、被告が現にマスターフランチャイザーの地位にあるものとして本件フランチャイズ契約(地域本部契約、地区本部契約)を重ねているから、被告が本件フランチャイズシステムのマスターフランチャイザーの役割を果たすようになった当初の時点で既に、被告と本件商標1の出願名義人たる訴外会社との間において、出願中あるいは登録後の本件商標1について、そのような役割を果たすことを可能とする使用権を設定する合意が黙示のうちに成立していたものと認めるのが相当である。」
「そうすると、遅くとも、本件フランチャイズシステムにおけるマスターフランチャイザーとしての地位が訴外会社から被告に移転した昭和56年10月に、被告と訴外会社との間で、少なくとも、本件フランチャイズシステムが存続することと被告がマスターフランチャイザーの役割を果たせることを前提に、本件フランチャイズの基本商標として、無償かつ再許諾権付きで独占的に使用させる内容をもって、本件商標権1の使用権を設定する黙示の合意(本件黙示合意1)があったものと認められる」
「本件商標2及び3については、基本的に本件商標1に従属する関係に立つから、出願人の地位の譲渡がされた昭和60年10月28日ころに、被告と訴外会社の間において、出願中あるいは登録後の本件商標2及び3について、本件黙示合意1と同様の内容の使用権の設定が黙示のうちに成立していたものと認めることが相当である(本件黙示合意2及び3の成立)」(28頁)
「原告は、本件黙示合意1の効力として、被告に対し、本件商標権4に基づく独自の禁止権を主張することができないと解するのが相当であるから、少なくとも、被告において、本件商標権4に基づき、本件商標4と同一の被告標章を含む被告各標章の使用を妨げられることはないものと認められる。」(29-30頁)
本判決では、被告が「独占的な通常使用権」を有しており、それが現在に至るまで継続している、と判断されたことで、本訴請求が全面的に退けられることになった。
しかし、既に「ほっかほっか亭」のブランドが分裂した現在においてもなお「黙示の使用許諾合意」の効力が存続している、というのは難しいように思われるから、本判決をもって問題の根源的な解決がなされた、とは言い難いものがある。
本件訴訟が控訴審に移行しているのであれば、いずれ和解協議手続き等の場において、一定の対価を伴う商標権譲渡等を行う、といった解決策が模索されることになるのだろう。
だが、本件でも証拠として提出されている10数年前の訴外会社の「社内文書」において、商標の保有関係が問題にされていたことを考えると、問題を先送りしたツケは高く付いたんじゃないのかなぁ・・・と思えてならない。
今後も、地盤の切り崩しやそれに伴う法廷闘争等、競争の負の部分が顕在化することは避けられないだろう。
各弁当フランチャイザーには、不毛な消耗戦に時間をかけるよりも、心温まるおいしい弁当をリーズナブルな価格で世の中に届ける方に労力を割いて欲しいものだ・・・、と老婆心ながら思う次第である。
*3:これは予備的請求であり、主位的請求では「無償の専用使用権」の存在確認を求めていたのだが、さすがにこれは退けられている。
*4:加盟店との関係でみれば、マスターフランチャイザーが被告、サブフランチャイザーが原告、という関係にある。
*5:そもそも、原告・被告を合わせた「ほっかほっか亭」ブランド全てを傘下に収めようか、という勢いだったダイエーの没落が、今の混乱をもたらしているのは間違いないところだろう・・・。
*6:もっとも、取扱商品に関する商品商標の禁止権が小売役務としての使用にも及ぶ、と考えれば結局は同じことなのだが・・・。
加戸守行氏と並ぶ「文化庁(文科省)発二大ブランド」と申し上げても過言ではない、作花文雄氏(現・文科省学校健康教育課長)*1による著作権法の解説書がまもなく公刊されるようである*2。
「詳解」シリーズに比べると値段もお手ごろな上に、前作では、立法担当者サイドの解説書とは思えないような大胆な記述も見られたこのシリーズ*3。
個人的には、1953年問題がらみの「改説」(笑)などに注目しているところだが*4、「制度と政策」との副題に違わないような大胆な政策論が脚注あたりに載ってはいないか、と期待して本屋に足を運ぶことにしたい。
*3:後輩の立法担当者に対する喝なのか、それともロビー活動や“国際調和”に振り回される担当者サイドの本音なのか・・・。
スポーツネタが続いて恐縮だが、スポンサー契約も絡んで混迷を極めている五輪代表競泳チームの着用水着問題について。
ビジネス法務的観点からみれば、最終的に公式スポンサー(=オフィシャルサプライヤー)3社の水着が使われなかった場合に契約上どのような処理がなされるのか、というのが最大の注目点になるわけだが、そもそも、スポーツ用品メーカーがこの種のスポンサーになっている理由が、
であることをアピールして自社製品のブランド力を高めることにあるのは言うまでもないわけで、にもかかわらず、これだけ「従来の水着の機能が劣る」という情報が一人歩きしてしまうと、もはや本番で代表選手が着用しようがしまいが手遅れ・・・という感がしなくもない。
インタビューに答える水連幹部や、一部の選手達のコメントが、日々果てしない“逆宣伝効果”をもたらしている状況だけに、メーカー各社の上層部としてはハラワタ煮えくり返るような思いだろうが*1、かといって、契約を盾に自社製品の着用を強要して、本番で日本競泳陣が惨敗するようなことになれば、それこそ、しばらく消えない“戦犯”の汚名を背負いこむことになってしまうことも予想される。
となるわけだが、今回ばかりは開発期間のリミットも極めて厳しそうだし、過度の期待を寄せるわけにもいかない。
何のかんの言っても、プレッシャーのかかる大舞台のこと。水着よりもっと、大事なものがあるんじゃないか・・・という気もするのであるが、一流のレベルで活躍する人間の心は、その人にしか分からないのもまた事実なわけで。
この際ビジネス上の観点は忘れて、大舞台で当人に悔いの残らないような選択の機会を与えてあげて欲しい・・・と思ったりもしている。
まだシーズンの前半だけに断定することは避けたいが、そもそもつい数年前までは、後者の観点からの指摘が出るなんて考えられなかったことを考えると*3、歳月の流れるのは早いものだなぁ・・・と思う。
*1:スポンサー契約の詳細を見たわけではないが、他社製品を実際に着用するか否かにかかわらず、これまでの競技関係者の言動自体が既に契約解除事由に相当する、と言われても仕方ないのではないか・・・。
*2:ダービーのインパクトが強いとはいえ、もしあの時代にヒシアマゾン(マル外馬)がクラシックに出走できたなら、牝馬三冠はおろか牡馬クラシックでさえブライアンと互角の戦いができただろうから、自分の中ではいつまで経ってもヒシアマゾン>>>ウォッカである。
*3:武豊騎手が乗って負けた馬は、(どんなにそれが怪しい騎乗だったとしても)まず確実に“能力が足りない”というレッテルを貼られたものだ。

 

[ 443] 検定試験情報 [ビジネス実務法務検定試験®]
[引用サイト]  http://www.kentei.org/houmu/

(運転免許証、パスポート、学生証、社員証など、原則として第三者機関発行で氏名・生年月日・顔写真が揃って確認できるもの)
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他の人の代わりに受験する試験官の指示に従わない携帯電話・PHSなどを使用する録音機・カメラ・辞書などを使用する
その他の不正行為解答用紙はすべて回収します。試験会場からの持ち出しは厳禁です。また、試験中一旦退席すると再入場は認められません。これらは不正行為とみなされますので、充分留意してください。
ビジネスにおいて業務のリスクを察知し、法的にチェックし、問題点を解決に導くコンプライアンス能力は法務部門に限らず、全てのビジネスパーソンにとって必要不可欠な能力です。そのための基礎となる実践的な法律知識を体系的・効率的に学ぶことができるのがビジネス実務法務検定試験®です。
ひとたび、企業の不祥事が発生すると刑事責任や損害賠償などの民事責任はもちろん、社会からも厳しいペナルティーを受けます。
今、多くの企業が「倫理憲章」や「企業行動基準」を策定し、企業自らが不正や不祥事を未然に防止するための活動を積極的に行っています。
ビジネスパーソンとしての業務上理解しておくべき基礎的法律知識を有し、問題点の発見ができる。(ビジネスパーソンとして最低限知っているべき法律実務基礎知識を想定)
企業活動の実務経験があり、弁護士などの外部専門家への相談といった一定の対応ができるなど、質的・量的に法律実務知識を有している。(知識レベルとしてのアッパーレベルを想定)
業務上必要な法律実務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる。(実務的対応能力としてのアッパーレベルを想定)
民法および商法を中心に、できるだけ全業種に共通して発生することが考えられる法律実務問題を出題します。
特定の業種に関連する一定の法律をクローズアップして出題します。法務実務の担当者が遭遇するであろうさまざまな場面を想定して出題します。例えば、以下の事例などにより実務対応能力を試験するものとします。
平成12年よりビジネス実務法務検定試験®の最上位級として1級試験を実施してまいりました。1級試験は2・3級のマークシート方式とは異なり、論述式で受験者のより高度な判断・対応が問われる試験です。1級試験に合格された受験者はもちろんのこと、不合格となった受験者についても得点上位者には1級合格に準ずる実力を有するものとして、ビジネス界において活躍されることが期待されます。この度、2008年度実施の第24回試験より、1級受験者のより幅広い活躍を支援するため、不合格者の得点上位者を1級合格に準じ、「準1級」として認定する制度を開始します。
企業活動に関する不祥事がマスコミを賑わせ続けているなかで、企業にとってコンプライアンスの重要性はかつてなく高まっています。会社法や独禁法、金融商品取引法など近年の相次ぐ法律改正は、規制の
概観だけでなく本質的な考え方の切り替えを迫るものです。企業としては単に法令遵守にとどまらず、企業に対する社会の期待に背かないよう法の精神から理解することが求められます。そのためには、詰め込まれた法律知識だけでは役に立ちません。
当社では、コンプライアンスについても、品質は工程で造り込むとの自工程完結を求めるトヨタ生産方式の考え方に則り、販売や調達など各担当機能において現場の目線から問題意識をもって課題を見つけ出すことを求めています。
「ビジネス実務法務検定試験®」は、企業法務はもとより、幅広いビジネスの現場で直ちに役立つ鋭敏な法律感覚と活きた実務能力を身につけるための基礎体力を測るうえで最適な検定試験であると考えています。
「企業法務を担当するようになり、業務上役に立つ知識が身につくと思ったのが検定試験挑戦のきっかけでした。企業法務という仕事は幅広い知識が求められます
が、それらをまとめた教科書のようなものはなく、あちこちから情報を集めてこなければなりません。私は公式テキストを使用して勉強しましたが、公式テキストには役に立つ情報がコンパク
試験である以上合格することが最大の目標ですが、私は単に合格することだけではなく、テキストに載っている情報を業務に応用できるようにすることも目的として勉強しました。今でもテキストは会社の机の中にあり、辞書代わりに使えるようにしております。また、仕事で案件を担当するとき「ああ、あれのことだな」というゆとりをもって臨めるようになりました。法務を担当していない方で
今後の目標としては、知識だけでなく実務を通して経験を積み、上司や先輩に少しでも近づきたいと考えています。それには、やはり基礎となる知識の吸収が重要だと思います。現在1級の勉強をしていますが、その他の資格にも挑戦し積極的にスキルアップを図っていきたいと思っています。
消費者Aは、自宅にB社の販売員Cの訪問を受けて宝石を購入した。Aは、宝石の購入に際し、Cから、その宝石がダイヤモンドであるとの説明を受け、それを信じたが、実際にはダイヤモンドではなかった。この場合、Aは、消費者契約法に基づいて本件売買契約を取り消すことができる。
Aは、B社の販売員Cに街頭で呼び止められ、Cに誘引されて赴いたB社の営業所で絵画(特定商取引法上の指定商品に該当する)を購入した。この場合、Aは、特定商取引法に基づいてクーリング・オフを行使し、本件売買契約を解除することができる。
Aは、勤務先にB社の販売員Cの訪問を受け、その勧誘により英語学習教材(特定商取引法上の指定商品に該当する)を購入しその引渡しを受けた。Aが、その学習教材を使用する前に、特定商取引法に基づいてクーリング・オフを行使し、本件売買契約を解除した場合、Aは、B社の費用で、その学習教材をB社に引き取らせることができる。
Aは、B社の店舗においてB社との間で、代金を1年にわたり12回の分割払いで支払う約定でテレビ(割賦販売法上の指定商品に該当する)を購入する契約を締結した。B社は、本件売買契約を締結した後、遅滞なく、割賦販売法所定の事項をAに明示しなければならないが、B社は当該事項を口頭で明示すれば足り、Aに書面等を交付することを要しない。
Y社は、X社との間の売買契約で、X社が自社店舗でY社製の掃除機αを消費者に販売する際の小売価格を指定し、Y社の指定した価格と異なる価格での販売を禁止している。Y社の当該行為は、独占禁止法上の不公正な取引方法に該当することはない。
Y社は、Y社製の掃除機αのパンフレットを作成し、それをX社の店舗で配布している。そのパンフレットには、掃除機αは同等の価格・性能の他社製品に比べ、その消費電力が3分の1以下である旨が記載されている。当該パンフレットの記載について、Y社は、公正取引委員会から、期間を定めて、その裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められた。Y社が当該期間内に合理的な根拠を示す資料を公正取引委員会に提出しなかった場合、当該パンフレットの記載は景品表示法上の不当表示とみなされる。
X社は、1週間にわたる歳末大売出しを実施することとし、Y社に対して、商品の配置換え等の作業を行わせるため、当該大売出しの期間を含む15日間、Y社の雇用する労働者を店舗に無償で派遣することを要求した。これに対し、Y社は、要求に応じなければ今後の取引を停止する旨をX社から示唆されたため、やむなくこれに応じた。この場合、X社の行為は、独占禁止法上の
X社は、定期的に実施する自社店舗の模様替えの都度、Y社に清掃等の要員として労働者を無償で派遣することを求め、Y社もその都度、要員計画に基づいて自社で常時雇用する労働者を派遣することが常態となっている。X社は、Y社から派遣を受けた労働者に対し、X社の労働者に対するのと同様に、担当する作業の分担やその遂行方法につき直接指揮命令をするととも
消費者Zは、X社の店舗でY社製の掃除機αを購入し、その取扱説明書の記載に従って掃除機αを操作していたところ、掃除機αが突然発火しZが火傷を負った。掃除機αの発火は、X社の従業員がZ宅に掃除機αを配送した際に落下させたことにより生じたモーターの故障が原因であった。この場合、Zは、Y社に対し製造物責任法上の責任を追及することができる。
部長、内部通報担当者殿宛として匿名の手紙が届いたので対応を打ち合わせたいのですが、よろしいですか。手紙には、「イ)当社の管理職が過大な交通費(電車賃など)を請求していたり、ロ)当社の役員が下請業者から便宜を受けてマンションを不当に安く借りたりしており、会社の内部統制に問題があり改善が必要である。2週間後に開催される定時株主総会においてこれらの点について説明せよ。説明がなければマスコミ等に情報を提供する。」と記されています。
総会前の嫌がらせかな。悪意に満ちた手紙のようで残念だ。法的な観点からポイントを押さえたうえで対応を考えることが重要だ。内部統制に問題があるとしているが、内部統制って、会社法や金融商品取引法で求められているものだよね。どんな内容だったかな。
会社法では「内部統制」という用語は用いられていませんが、その構築に関する規定があります。金融商品取引法には「内部統制報告書」についての義務規定があります。内部統制について、それぞれの法が求めている義務の内容、義務の対象となる会社、違反した場合の効果について説明しますと、次のとおりとなります。
手紙では、内部統制上の問題としてイ)とロ)の二つの事項が挙げられているが、仮にそれらの事実があったとしても、法的にみて内部統制上の問題となり得るのかな。大げさすぎるように思うが・・・。
当社では、交通費は自己申告に基づき管理職が承認して支払っています。領収証は求めていませんが、少額の精算なので合理的な処理といえます。役員のマンションの話は、仮にそのような話があったとしても、下請業者が営業上の配慮から当該役員に個人的な便宜を与えたもので贈物に近い性格のものといえると思います。いずれも違法とはいえないと思います。
株主総会で説明しろと記されているが、これらについて株主総会で説明すべき法律上の義務はあるか。
詳細な事実関係が記載されてないので、真偽を確認することが難しい状況です。匿名の手紙ですが、社内処理を知っている内部者からの手紙と推定されます。当社の内部通報に関する規則は、通報者に不利益を与えないことを約束するので必ず名乗るように規定しています。ルール違反の文書ですので、本件を取り上げなくても社内規則には違反しません。
こういった匿名の手紙を書くことは卑怯だ。受理しなかったという扱いとしよう。株主総会前はいろいろあるね。
(2)手紙で指摘を受けたイ)およびロ)について、仮にそれらが事実であったとすればいかなる法的問題があるかを検討したうえで、()の会話内容は法的にみて適切といえるか
手紙を受領して以降のXおよびYの対応には、コンプライアンス推進の観点からみていかなる問題があるか。問題と考えられる点をすべて挙げるとともに、コンプライアンス推進の観点からXとYがとるべきと考えられる対応を記述しなさい。
受験のお申込みは別途必要です。お申込みを忘れると、セミナー受講者でも受験できませんのでご注意ください。
内容:受験動機、主な学習方法(専門学校・通信講座・独学etc)、学習期間、本検定取得して実務などで役に立ったこと等を適宜文中の記述に入れてください。(全て入れなくても結構です)

 

[ 444] 法務 転職・求人【JBN】
[引用サイト]  http://www.jinzai-bank.net/opp_1.cfm?TJOB=0069

・契約書の作成、審査、交渉・社内の法律相談・法務教育・社内コンプライアンス活動全般・規定作成業務・外部弁護士との折衝・商標管理、申請・文書管理等
車両開発・CAE・電子システム開発・車両開発に必要な情報システム開発・性能評価・情報解析・設計情報管理・材料技術・計測機器開発・設備開発・設備保全・生産技術・技術教育
【車両開発における、特許情報に関わる支援業務】●車両開発における、特許権利化業務の支援●発明の発掘活動●開発部署と一体となって開発テーマに関する特許網の形成を支援(特許調査、技術動向解析、特許マップ作成、アイデア相談など)●発明の従来技術調査および権利化可否の検討
知的財産業務全般 特許事務所と技術部の橋渡し的なお仕事になります。(1)自社開発技術の特許出願・権利化業務 −自社・他社の知財ポートフォリオに鑑み、 全世界に対する戦略的な特許出願・権利化を推進−自社のエンジニアに開発上における特許指導−他社の特許動向調査(2)知的財産法務スタッフ−知的財産に関するライセンス等の交渉・契約業務 −知的財産に関する訴訟対応業務 −技術標準化やM&A等に対応した知的財産の交渉・契約業務 −その他知的財産の戦略的活用に関する業務 ■部署構成室長1名係長1名(30歳中盤)一般1名派遣2名■求人の背景前任者の定年
実務未経験OK弁理士の勉強をしていた、特許事務所で働いていた、小さな会社で少しだけ知財の経験がある等で将来も特許関連で仕事がしたい方
医療用光学機器の研究開発・製造販売では業界内での実力評価が非常に高い会社で、主力製品の角膜内皮細胞撮影装置は、世界市場の70%以上をシェアを誇っていまする。次代に向けて「予知・予防医学」分野での研究開発も盛んで、少数精鋭で自由闊達な社風の企業です。
■眼科向診断用機器に関する特許・知的財産全般−特許申請業務(実用新案・商標等も含む)−弁理士折衝・調整等全般−海外ライセンス取得申請・折衝−開発関連知財全般※開発部所属となります。※現在開発担当役員が兼務しており、将来的には特許・知財部門責任者候補の募集です。※特許業務以外、品質管理(ISO13485)・契約法務関連業務も一部担当して頂きます。
●特許実務経験必須●光学・電気・機械・ソフトに関する知識要●工学・電器・機会・ソフト関連技術職の経験ある方尚可●弁理士折衝・調整等の経験ある方尚可●英語(特に英文)のできる方尚可●品質管理・契約法務の経験あればなお可
1925年設立の大手総合化学工業品メーカー。中期経営計画において、同社はあらゆる面で強靭な高収益体質を備えた真のグローバル・ケミカルカンパニーをめざしております。
法務部管理社員として、契約審査、法務教育、法律相談、訴訟・事故・事件対策、紛争相談、交渉手法相談、リスクアセスメント、コンプライアンス業務等をプレイングマネージャーとして担当して頂きます。(いずれも国内・国外双方の案件あり)※同社では海外での事業展開の案件が多く、これに伴う法務業務の比率が高くなっています。当社は対外的に日本経団連経済法規委員会、関経連企業経営委員会のメンバーや、経営法友会幹事会社等を勉めています。
■消費財メーカーにおける、特許・知的財産全般業務の経験(5年程度)もしくは、消費財メーカーをクライアント先として持っていた経験■侵害対応経験■大学での専攻もしくは職務経歴において、化学知識を有する
◇ディール契約書関係(国内、海外含む)◇ディールの関連法規の法令順守チェック◇コーポレート関係契約書チェック◇ファンド関連契約書のリーガルチェック◇インサイダー等内部管理体制およびコンプライアンス体制の整備、等。
●コンピュータ及び情報通信システムに関する各種ソフトウェア、ハードウェア、システム等の調査、研究、コンサルティング、企画、設計、開発、製造、販売、運用、保守、並びにデータセンターサービスの提供、付加価値通信サービスの提供、その他●コンピュータ及び情報通信システムに関する各種ソフトウェア、ハードウェア、システム等の調査、研究、コンサルティング、企画、設計、開発、製造、販売、運用、保守、並びにデータセンターサービスの提供、付加価値通信サービスの提供、その他
◎同社の法務担当として法務業務全般に従事して頂き、業務改善などを推進して頂きます。 〔業務詳細〕 法務業務全般 ●契約法務:契約書のチェック・管理(英文契約書を含む) ●企業法務:株主総会・取締役会への法務支援 ●コンプライアンス:コンプライアンス施策のじっせnや法令遵守のための啓蒙活動、事業を健全に行うための社内統制のあり方を考案 ●ガバナンスの確立:J-SOX向け社内文書整備 など
強い権利を取得するための出願サービス/中間処理におけるサービス/権利行使におけるサービス【対応可能分野】自動車関連技術・集積回路技術・IT技術・画像処理技術・機械工学技術・建築技術・材料分析技術・情報処理技術・光デバイス技術・無機化学/金属電気化学・生産技術・アミューズメント機器・OA機器・制御工学・計算機工学・通信工学・電気・電子工学・半導体工学・電力工学
●技術特許に関するアシスタント業務※下記業務のアシスタント業務を行って頂きます。・国内外の特許出願明細書等の作成、拒否対応処理業務※クライアント先の発明案件の発案者や知財担当者等へのコンサルティング業務(サポート)※発明案件等の具体化や既存特許との差別化、権利化等に関するコンサルティング業務(サポート)。※将来的には弁理士・特許技術者として第一線で活躍していただきます。
【MUST】●特許明細書作成業務経験者●弁理士資格取得を目指している方【WANT】●回路設計技術、半導体関連技術の知識や経験をお持ちの方歓迎【活かせる経験】メーカーでの技術部門や管理部門での特許に関する業務経験【求める人物像】弁理士資格取得だけではなく、幅広い知識を習得して頂く為、向上心や知識習得意欲の高い方

 

[ 445] ビジネス法務の部屋
[引用サイト]  http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/

大阪弁護士会所属(登録17年目)。内部統制や企業コンプライアンス、企業会計などの視点から「企業価値」を考えるテーマを中心にあれこれとオリジナルな思いを書き綴っております。
現職の判事さんが20代の女性に対して十数回メールを送りつけて「ストーカー行為」として逮捕されたとのこと。第三者を装って、警察への相談を女性に勧め、自らもT大法学部の友人だった警察庁幹部に捜査依頼をした、ということなんで、相当ゆがんだ構造ですね。(なんかいろいろとウラがありそう・・・)
昨日のエントリーには、たくさんのアクセスをいただき、ありがとうござした。内容的に、それほど盛り上がるようなテーマではないのでありますが、やはり粉飾決算と会計監査人の責任問題・・・というのは、けっこう注目度が高いのでしょうね。間違った内容等ありましたら、どうかご指摘いただければ幸いです。(そういえば、関連するような問題で、5月21日付けにて、日本公認会計士協会のHPに懲戒処分リリースが掲載されていますね。処分理由を読んでかなりビックリしました。)
さて、JASDAQ上場企業である日本トイザらス社が販売商品の塗料に問題があったとして、製品回収(リコール)を告知しましたが、リコール発表の時間を報道機関を通じて予告することで、その告知内容が世間に大きく知られるところとなりました。企業の社会的責任を宣言する企業として、このリコール実施の方法は、まさに企業の体質を物語るものであります。
こういった危機管理(クライシスマネジメント)の一環としてのリコール実施方法について、私がよく参考にさせていただいているのが「不祥事を防ぐ市場対応ハンドブック」(久新大四郎 著 唯学書房 2800円税別)であります。前半部分はまさに問題発生の第一報からリコール実施までの詳細な解説が記述されておりまして、現場感覚がよく把握できるもので、たいへんありがたいです。後半は、まさにいま問題となっております消費者庁へ移管が予定されている各法律を消費者問題との関係から手際よくまとめておられるものであり、私にとりましては「一粒で二度おいしい」参考書であります。著者の九新(きゅうしん)氏はソニーCSオフィサーなど、長年企業の側から消費者問題に関与されている方でありまして、法律家の執筆するコンプライアンス本よりも「明解でわかりやすい」内容であります。いざ!というときはもちろんコンサルティングが必要でありますが、平時におけるリスクマネジメントを考えるには最適であります。この前半部分を参考にしながら、今回のトイザらス社のクライシスマネジメントの手法などを検討してみると、リコールの成否が企業の情報開示統制に大きく依存していることがおわかりになるかと思います。
(22日午前11時 追記 なんだか、本日はものすごいアクセス数になっておりますが、本件エントリーはまだ「書きかけ」程度にご理解ください。本判決の3分の1程度の論点しか紹介しきれておりません。こういったときはかならず後でご批判を受けるんですよね 笑)
旬刊金融法務事情の最新号(1835号)の判決速報にて、株式会社キムラヤ(ディスカウントストア 平成16年9月民事再生手続開始)の粉飾決算事件について、三菱東京UFJ銀行等2名が取締役らと会計監査人に損害賠償を求めた訴訟の判決全文が掲載されております。(東京地裁、平成19年11月28日民事第五部判決 確定)キムラヤは、当時同族で90%以上の株を保有していた非上場会社でありますが、負債が200億以上の「商法特例法上の大会社」だったために、平成12年より平成16年1月期まで会計監査人による商法監査を受けていたものであります。三菱東京銀行は、他行とともにシンジケートローンを組み、民事再生開始申立の直前に10億円をキムラヤに融資実行したわけでありますが、その際に、被告会計監査人の適法意見の付された計算書類を信用して融資を決定したということで、商法特例法10条(現行会社法429条2項4号)による会計監査人の責任を追及した、というものであります。
判決は、粉飾を実行した取締役らの責任を全面的に認めましたが、会計監査人(公認会計士)の責任は否定しております。平成9年ころから粉飾は続いておりましたが、事案の性質上、原告銀行らは平成16年1月期の会計監査についてだけ、その過失を主張しているようです。粉飾はディスカウントショップらしく、いわゆる棚卸資産(商品在庫)の架空計上でありまして、平成16年1月期の貸借対照表上の棚卸資産計上額は89億3900万円ですが、実際(民事再生開始決定後にあずさ監査法人が算定した正味在庫)は、47億3700万円であり、実際の資産よりも倍額の過大計上だったようであります。裁判におきましては、商法特例法10条責任(立証責任の転換)が適用される事案であるため、会計監査人のほうが一生懸命「過失なし」であることを立証して、裁判所がこれを認めたものでして、会計監査人としてはキムラヤの固有リスク、統制リスクをきちんと評価したうえで、比較的厳格に監査手続を履行したことが、「平均的な水準の会計士としての注意義務をもって監査手続を行った」ものとして評価されたようであります。
しかし、先日のナナボシ判決を読んだあとで、上記判決文を熟読してみますと、ずいぶんと原告銀行側の主張もあっさりとしたもので、「絶対に会計監査人の過失を認めてやろう」といった迫力が感じられませんでした。これは原告側が監査契約に基づいて(実質的な)主張立証責任を負う債務不履行責任を追及したものではなく、銀行が「第三者」として商法特例法10条責任を追及したことからくる差なのかもしれませんが、ツッコミ不足だったように感じます。原告が会計監査人の不法行為責任を追及しておれば、もっとリスク・アプローチを採用したうえでの監査上の注意義務違反の有無が詳細に問われる事案ではなかったかと思います。あまりにも多くの疑問点があるために、到底ブログでは申し上げられませんが、そもそも法定監査が開始されて以来、ビッグカメラが銀座に出現して売上自体は伸びていないにもかかわらず、6年間で在庫商品の資産計上額が10倍というのはかなり異常ではないかと思いますが、そのあたりはまったく判決文のなかでは触れられておりません。また、メインバンクであるみずほ銀行が、「在庫を監査させてほしい」とキムラヤに申し出て、みずほが指定した監査人による監査が開始されるやいなや、わずか2日目でキムラヤ経営陣とみずほが委託した監査人との間で意見が衝突し、その直後に民事再生を申し立てたという経緯がありまして、このあたりの話からしますと、虚偽表示リスク(商法監査に、この用語は正確には不適切かもしれませんが)というものが、もうすこし厳密に争点になっていたら、どうなったんだろうかと疑問を抱くところであります。
本日(5月21日)ヤクルト株主代表訴訟の高裁判決が出たということで、またどこかで判決速報などを読んでみたいと思っておりますが、報道レベルでは、原告株主らが賠償を求めたかった取締役らの責任につきましては、「当時のリスク管理体制整備義務を尽くしていなかったとまではいえない」として否定されたようであります。こういった監査とか監視義務といった問題の場合、いつも思うのですが、監査人や取締役の「法的責任」を議論する場合、いかに具体的な主張を展開できるか、という点がキモでありまして、とてもむずかしいですね。「内部統制の不備あり→実査すべき」なる主張では、おそらく裁判所は説得できないわけでして、最低でも「内部統制の不備→代替手続による確認→虚偽表示リスクの認識→試査による追加手続の可否→実査すべき」といった過程のなかで、逐一、会計監査人の注意義務の存否を評価していく必要があると思います。また、取締役の内部統制構築義務違反を問題にする場合にも、「内部統制の基本方針→具体化作業→運用状況評価→改善に関する提案の有無→改善の実行」までの過程を検証したうえで、裁判所に内部統制上の「重大な欠陥」(重要な欠陥とは少し概念が異なりますが)があったことをまず論証したうえで、各取締役の内部統制をあえて無視する、という作為と同じほどに評価できる不作為(放置)を立証しなければ、善管注意義務違反は認められないものと思っております。そもそも「経営判断」や「会計監査」は、法との関係を離れて企業社会において重要な意味を持つものでありますから、そこに法が割って入ることの意味はよくよく慎重に考えておきたい、というのが私の勝手な持論であります。(うーーん、書きたいことの半分も書けずに、なんか不完全燃焼に終わってしまったエントリーです。。。トホホ)
著名ブロガーの方々が、平成20年度の新司法試験問題についてコメントされておられるので、たいしたことはコメントできませんが、ひとことだけ雑感を述べさせていただきます。おそらく受験された方は民事系問題を見てビックリされたことだと思います。今年は商法科目が民事訴訟法科目とくっついて大問(配点200点のほう)になっちゃったんですね。私のゼミを受講されたロースクール生の方々ならご存知のとおり、昨年から「会社法は絶対に訴訟法とからめて勉強すべき」と何度か申し上げておりましたので、そういった意味では「大当たり」でしたね(^^;
いえ、これは私が優秀な講師だからではなくて、逆に「とても人には言えない恥ずかしい訴訟」を何度も過去に繰り返してきた「ごく平凡な弁護士による苦い経験」からであります。大手の法律事務所の弁護士さん方でしたら、元々優秀なうえに訴訟担当チームを組んで、それなりに会社事件の訴訟活動は先輩からきちんと教えられるところもあるかと思いますが、小規模事務所が会社事件を担当することとなりますと、弁護過誤にもつながりかねないような基本的なミスを犯す可能性が高いのであります。当事者適格や訴訟形態(給付訴訟か確認訴訟か、形成訴訟か)、裁判管轄(どこの裁判所に訴えるべきか)、必要的共同訴訟かどうか、提訴期間や訴訟参加は可能か、定款自治や株主間契約による合意は訴訟要件にどのような影響を及ぼすか、などなど、会社法特有の訴訟法上の問題はやまほどあるわけです。あまり知られておりませんが、あのダスキン株主代表訴訟の第一審においてですら、かなり基本的なところで手続上の瑕疵があり、「瑕疵が治癒された」と裁判所に判断されているケースもあるほどです。ということで、商事事件を扱う弁護士を想定しますと、まずなんといっても、利害関係者の権利義務関係を裁判所に判断してもらうためには、「事件をとりあえず裁判にのっける」作業が必要なのでありまして、実務家になるためには、この「会社法と訴訟法の交差する場面」は「基本中の基本」なのであります。来年の試験問題がどうなるかは予想できませんが、私は判例研究などをされる場合でも、原告弁護士がどうやって「裁判にのっけたのか」、被告弁護士はどうして、ここで門前払いを求める主張をしているのかなど、きちんと配慮していただきたい、と常々申し上げているところであります。
あと、会社法を学ぶ上でとても大切(と私は勝手に思っておりますが)なのは、勉強しているときに思い浮かべている「会社」は大きな会社なのか、小さな閉鎖会社なのか、同族会社なのかベンチャー会社なのか、合弁会社なのか、ということであります。判例研究の際、毎回最初にお聞きするのは、「この被告会社はどういったイメージの会社ですか」ということでして、イメージされた会社によって、法律実務家が選択すべき法律構成はまったく異なるわけでして、そのあたりを十分理解しているかどうかは、非常に重要であります。今年の問題をみましても、上場子会社と、これを実質支配する小さな閉鎖型の親会社が登場して、かなり怪しい株式交換手続を行うものでありまして、上場会社からみた「会社法」、閉鎖会社からみた「会社法」、そして(責任財産保全の問題をからめながら)それらの関連性の問題点を見つけ出すというところは、かなり良問ではないかと思いました。
しかし架空循環取引や粉飾決算が登場したり、親子上場問題が出たり、怪しげなM&A投資アドバイザーが活躍したり、利益のためなら多少のコンプライアンス違反に目をつぶる銀行マンが登場したりと、まさに世相を反映した民事系問題ですね。昔の司法試験問題とは異なり、上から40%の人と45%の人の間に差をつけなければならない試験になりましたので、たくさんの文書を読ませて、論点抽出型の回答にならざるをえないものとは思いますが、楽しく議論してみたい問題だと思いました。(お気楽な内容ですが、このあたりで)
以前日経新聞でも伝えられておりましたが、また読売ニュースにてサンエー・インターナショナル社(上場会社の役職員)のインサイダー取引について証券取引等監視委員会が課徴金処分を念頭に勧告を行う予定であることが報じられております。私の手元にあります東京証券取引所発行にかかる「インサイダー取引Q&A第三版」の29ページには、「決定事実」が最高裁まで争われた事例をもとに�〃萃蠅肋λ‐紊竜ヾ悗砲茲襪發里妨造蕕譴此覆弔泙蠎卍垢琉媚弖萃蠅世韻任發△燭襦豊⊂魴鑄佞�の決定(たとえば親会社が第三者割当てに難色を示しており、この親会社が承諾することを条件に割当てを行う、といったケース)であっても該当する、とありますし、またQ&Aのなかでも半年前くらい遡った初期段階においては、かなり微妙ではあるが、社長がトップダウンで重要事実案件実現を目指して検討が開始されているようなケースでは初期段階であっても重要事実が成立していると考えられる(16ページ)とあります。この本の副題のとおり「30分でインサイダー取引がわかる」かどうかは別としまして、こういった一般の方向けの解説を読みますと、サンエー社の件は普通に考えても「ちょっとヤバイんじゃないかな?」と考えられるところだと思います。実際のところ、サンエー社としては「ヤバイ」と思って証券会社さんに意見を求めたわけですから、どうして証券会社としては、違法性なし(だいじょうぶ)といったサインを送ったのでしょうか。下手をすると、先日の証券会社社員によるインサイダー取引を発生させてしまった内部統制上の問題点ともつながってしまうのではないかと邪推してしまいますが、このあたり、もうすこし詳しい事実関係が知りたいところであります。
インサイダー取引が刑事事件として立件されるのであれば、サンエー社役員の方に故意が認められる必要性がありますので、証券会社さんの意見にしたがって公募増資を行ったというものであれば「故意が認められない」(もしくは行為に違法性なし)とされるでしょうが、課徴金賦課につきましては「うっかりインサイダー」なるお馴染みの用語でもおわかりのとおり、明確な違法性に関する認識がなくても柔軟に課されてしまうわけですから、サンエー社の役員の方にしてみれば納得のいかないところだと思われます。
金融庁HPで「ベターレギュレーションの進捗状況について」と題する報告書が公表されておりまして、そのなかでプリンシプルベースとルールベースの最適の組み合わせが大きな柱とされ、一例として先日公表されました「内部統制報告制度に関する11の誤解」が引用され、「ルールの解釈にプリンシプルから光をあて、実務が過度に萎縮することがないよう、制度の趣旨を明確に示す取り組みを実施」した、と説明がなされております。私はこの金融庁の「11の誤解」につきましては、かなり画期的であり、評価している立場でありますが(当ブログにお越しの常連の皆様は別の意見と思いますが)、これがルールベースとプリンシプルベースの最適な組合せの適例かどうかはちょっとよくわかりません。先のサンエー・インターナショナル社の例などをみますと、この「プリンシプルベースとルールベースの組合せ」なるものは、ルールの隙間をプリンシプルで埋める、といった印象が強いのではないでしょうか。そもそも金融市場の健全化をはかる為には、厳格な司法判断やがんじがらめの事前規制では機動的な取締りが困難なために、専門性を発揮した柔軟な取締りのために、プリンシプルベースで「穴」を作らない方に目的があるのではないかと疑ってしまうところがございます。となりますと、むしろプリンシプルベースというのは使い方次第では、実務に対して過度の萎縮的効果を与えてしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
そもそも、「11の誤解」につきましても、実務が過度に萎縮することがないように」とは言いますが、経営者評価と監査とは別々の「実務」があるわけですから、経営者にも監査法人にも、それぞれの業務が萎縮しないことへの効果はあったのでしょうか?私には、どっちかに効果があれば、一方は萎縮してしまう関係にあるのではないか、と疑問に思っております。いずれにしましても、いま私が期待しておりますのは、相談センターなどの問い合わせ事例を集計して、世間ではこの内部統制報告制度を施行するうえで、どんなことが問題になっているかを早期に公表していただくことであります。それと、「金融専門サービス士」構想ですが、これはまた別の機会に思うところを書かせていただきます。
当ブログではこれまで三度にわたって「行政法専門弁護士待望論」に関連する話題について語っておりますが、平成21年にはできる(本当かな?)とウワサされております「消費者庁」なる内閣府の外局構想につきましては、これまで以上にそういった専門弁護士が待望されるところではないかと思っております。なんといいましても、5月16日の日経朝刊では「22法律移管」とされ、同日の時事通信ニュースでは24法律、そして朝日ニュースでは26法律が移管されるとのことでありまして(いったいどの報道が正確なのでしょうか?)、今後の各省庁との折衝次第では、ものすごい絶大なる権限(総合調整権限)を有する行政組織が誕生することになるわけであります。これは企業コンプライアンスの観点からみて大きなリスクであることに間違いないと思います。(にもかかわらず、あまり話題にならないのはなぜなんでしょうか?麻生さんはまったく関心がないということか?)なお、誤解のないようにあらかじめ申し上げておきますが、「リスク」といいますのは、決して消費者を騙しているような悪徳企業の「やり逃げ」を支援するという意味ではなく、自由競争のもと正当な営業活動を続けているまっとうな企業の商売に萎縮効果を与えるリスクのことを指しております。消費者保護と企業の自由な営業活動との調和点をどこに求めるのか、という非常にむずかしい問題が横たわっているわけであります。
いずれにしましても、一部移管も含めますと、PL法、景表法、消費者契約法、金融商品販売法、消安法、品確法、公益通報者保護法、食品衛生法、そして宅建業法などなど、商工会議所主催のビジネス実務法務検定問題に登場するような重要な法律の運用に関与する行政組織となりますので、その「行政手法」がどのようになるのかが、非常に気になるところであります。私は行政法専門弁護士でもなんでもありませんが、素人ながら、その行政手法を検討するためには、「何を」規制するのか、という観点と、「どのように」規制するのか、という観点で分けて検討するのが便利ではないかと思っております。「何を」規制するか、というのは消費者行政に関連する企業活動そのものを規制する場合と、消費者と企業との取引の効力自体を規制する場合とに分けて検討すべき、ということであります。それと、「どのように」規制するか、ということにつきましては、以下のとおりに分類すべきではないでしょうか。
もちろん、これらの行政手法がバラバラに用いられる場合だけでなく、こういった行政手法をいくつか組み合わることによって公益目的を実現することも考えられるわけであります。そしてこういった行政手法への企業側の対応も、フレキシブルに検討していく必要があると思っております。ここで申し上げたいのは、行政訴訟を提起したり、行政手続法に沿った申立を行うことを主として意味しているのではございません。(そういった法的手続きに関する問題であれば、それこそ行政事件に強い弁護士さんに相談されるのが良いと思います)私が行政法専門弁護士を待望しますのは、そういった既に教科書的に書かれている法的手続きに強い弁護士さんではなく、もっと早期の段階、つまり行政調査が入った時点で交渉できる弁護士とか、行政罰ができるだけ軽く済むような企業側の諸事情を代弁するとか、いわゆる行政処分によって信用が毀損されてしまう「一歩手前」のところで行政処分を出させないようにするとか、すでに公益目的が実現されたのと同じ状況を作出するといった「政策法務」に強い弁護士のことであります。
「政策法務」といいますのは、普通は霞ヶ関とか、地方自治体の幹部の方々が、法律や条令を制定する場合に、その立法事実を正確に把握したり、どのような行政手法を採用するかを検討したりする場合の実務が中心でありますが、そういった実務の考え方は今後企業サイドにおいても必要になってくるのではないかと考えております。とりわけ所轄の省庁による専門的、技術的見地から許認可行政が運用されてきた法領域に対して「消費者行政」なる名目で別の官庁が大きな権限を行使するとなりますと、曖昧な要件のもとで営業活動の制約(財産権保障の『公共の福祉』による合理的制約)がまかり通ってしまって、そういった処分のもつ「信用毀損効果」をおそれて、企業活動は萎縮してしまうのではないかと危惧するところであります。そこで、たとえば行政が企業に対してペナルティを課すことに「裁量」が認められるのであれば、それこそ普段の法令遵守体制への尽力が影響することになるでしょうし、許認可権を省庁が手放さずに、勧告権だけが消費者庁に存在するのであれば「公定力」がない分、消費者庁とは徹底的に争うことも可能になるでしょうし、リスクを低減もしくは回避する方法はいくらでも考えられると思います。
また、「何を」規制するか、という点で企業活動を直接規制する方法と、企業と消費者との契約自体を規制する方法に分類した場合、たとえば企業の行為を規制するためには多大なエネルギーを使って行政調査を行うことになりますが、その場合にはまず消費者教育がなければ、「利用価値のない消費者情報」に振り回され、非効率な行政活動になってしまうのは目に見えているのではないでしょうか。つまり効率的な消費者行政であれば、1年に1000件の企業不正を処理することができるのに、消費者の啓蒙活動ができていないために、わずか100件しか処理できなかった、という結果に終わる可能性はいまのところ非常に高いと思います。今朝の朝日ニュースで、「消費期限」の意味を理解している消費者は半数にも満たなかった、というアンケート調査のことが報道されておりましたが(朝日ニュースはこちら)、消費者庁構想の最も大切な点は、この消費者への啓蒙活動にあると考えます。さらに、企業と消費者との契約自体の規制につきましても、先日の健勝苑、ニッセンを被告とした大阪地裁での判決(正確には消費者と企業の関係ではありませんが)にもあらわれているとおり、同じ被害者に対する対面呉服販売であっても、その被害者が最初に購入した場合と、次の業者から購入した場合とでは、結論が異なる場合もあるわけです。(ちなみに、先に呉服を購入した業者との契約は公序良俗違反で無効、次に購入した業者との関係では、危険を承知で購入したのだから無効とまではいえない、といった判決内容であります)つまり「消費者行政」といいましても、そこには個々の消費者ごとに企業との取引では保護に値する消費者なのかどうか、吟味する必要があるわけですので、契約関係へ行政が立ち入ることについては、消費者側からも企業側からも、相当な抵抗があるのではないかと予想しております。
ということで、福田内閣の推進する「消費者庁構想」、私の頭のなかでは、予想される混乱を考えますと、その実現率はかなり低いのでありますが、どうなりますでしょうかね?なお、首相官邸HPの消費者行政推進会議の議事録ならびに資料はなかなか勉強になります。
毎週木曜日はお昼から2コマ(合計3時間)、同志社のロースクールにて森田章教授と一緒に3年生の会社法ゼミを担当させていただいております。ゼミの時間はけっこうツッコミを入れさせてもらっておりますが、本日は森田先生がご専門の「株主代表訴訟と経営判断原則」をテーマとした事例研究ということで、私はほとんど聴講生状態でした。(^^;いやいや、アメリカの裁判事情や、取締役とCEO、株主との関係など、日本の株主代表訴訟と比較して非常におもしろいお話が聞けました。(以下、記述をわかりやすくするために、若干デフォルメしております。法律に詳しい方、あまり鋭いツッコミをいれないでくださいね)
紀伊国屋文左衛門の話江戸でみかんが不足していて、嵐のなかを無事に船で江戸までみかんを運べたら大もうけや。そやけど、みんなは「こんな嵐やったら船がひっくりかえるがな。やめとけ。やめとけ」っていうんや。そやけどやで、無事運べたら、誰も文句はいわへん。船がひっくりかえってしもたら、「ほらみろ、あれだけやめとけいうたのに、無理して出かけたお前が悪いんや。」っていわれるやろ。これが「合理的判断」や。10人中8人くらいが船ででかけるのは無謀と思ったなら、これは合理的判断やから責任ありや。そやけどやで、そんなんでやめとったら商売ならへんがな。10人中8人が「行け!」っていうからいっとったら、そんなもん、もう商売は終わりやで。儲かるわけないんや。10人中ひとりかふたりが「行ける」と思って成功するから商売なんや。これがビジネスジャッジメントルールっちゅうもんやで。わかるか?アメリカでは「合理的判断」とはいわんのや。合目的的判断や。(rational)アメリカではこの合目的的判断が保護されるんやけど、日本の裁判では「合理的判断」でないと取締役は救われへん。そんなアホなことあるかいな。リスクっちゅうもん、わかっとらんのちゃうか?
このへん、日本の会社法も、うまくできかけとったんや。お前ら知っとるか?会社法の条文で削られた条文あったやろ?代表訴訟で、会社の正当な利益が害される場合には代表訴訟は許されへん、ってな条文が最初あったんやけど、あれ、つぶれてもうたんや。アメリカの訴訟委員会みたいなもん、日本にはないから、取締役にとっては災難やで。こんなん弁護士もうけさせるばっかりやで。ホンマのビジネスマンが日本には育たんで。ワシもな、最初は日本には「独立社外取締役」なんて、いらんと思っとったんや。そんなもん、会社経営にはなんの役にも立たんとな。そやけどな、社外取締役が訴訟委員会みたいなもん作って、そこで株主の代表みたいな顔して、「こんな訴訟やったって、取締役からお金をチョロっと取り返したとしても、会社の信用は落ちるは、弁護士報酬が高くつくわで、会社にとってええことない。訴訟はやめなはれ」って言えたら、こりゃええもんですわ。会社と株主との利益調節のためにも、社外取締役は安くつくし、もっと活用したほうがええんとちゃうやろうかな。最近、6月総会を控えまして、機関投資家による「日本企業における株主利益向上のための議決権行使基準」に関する話題が盛り上がっているようでありますが、米国の機関投資家によるガバナンス改善要求の真意などを知るうえで、やはりアメリカで長年研究されていた学者の先生方の意見を拝聴するのはたいへん有意義だと感じました。なんといいましても、代表訴訟や独立社外取締役制度、執行役と取締役の関係、そして株主によるクラスアクションなどが、それぞれ制度として関連性を有しているわけでして、これらが日本の企業文化のなかでどのように効果的に機能するのか、そのあたりはやはり海外の制度を理解している方のお話を聞いてみるのが一番だなぁと感じております。(できるだけ森田教授の口調に近い雰囲気でご紹介いたしましたが、私はもちろん、尊敬している方であります。失礼がありましたら、この場で謝っておきます。また内容に関する誤りがございましたら、それは私自身の責任です。)
PS そういえば、今日の事例研究(株主代表訴訟における担保供与事件)で、発表担当のスクール生のひとりが「へびのめミシン」「へびのめ不動産」と言い出したのには唖然としました(^^;;「お前そんなんも知らんのか!? 昔は嫁入り道具のひとつやったんやぞ。お前のおかあちゃんも、これ実家から持ってきとるはずやで!今は知らんけど・・・」なる説明をされていた森田教授にも笑わせていただきましたが・・・・・
NHK名古屋放送局が制作する土曜ドラマ「監査法人」が6月14日よりスタートするらしいですね。昨年の「ジャッジ〜島の裁判官」では裁判官の生活や仕事ぶりがリアルに描かれていましたが、今度は企業の監査に携わる公認会計士さんの仕事や生活ぶりがドラマ化される、ということで楽しみにしております。昨年の私のエントリーのように(笑)、その筋の方々はおそらくツッコミを入れたくなるのかもしれませんが、監査に詳しい学者の先生方が監修されたり、日本公認会計士協会のHPでも広報されているようですので、「ドラマ」ということで、おおらかな気持ちで拝見することにいたしましょう。
門外漢である私がこのドラマで一番楽しみにしておりますのは、「いったい会計士さんというのは、仕事の楽しさをどこに見出すのだろうか?」という点であります。自らの監査という仕事をやりきったときに、果たしてどこにテレビドラマにふさわしい「充実感」が描かれるのでしょうか?先日ご紹介した山浦先生の「会計監査論第5版」第6章(職業監査の規範)におきまして、山浦先生はたいへん冷静に以下のとおり解説しておられます。「・・・会計監査の需要者や監査結果の利用者にとって、監査が首尾よく実施されればされるほど、監査という業務のメリットを実感しにくいという、きわめて皮肉な構造になっている。たとえば同じ専門職業であっても、医者の場合は治療の結果を患者が直接に実感できる。また弁護士の場合は訴訟での勝ち負けが依頼人の利害に直結する。しかし会計監査の場合は、こうした成果を捉えにくい。むしろ何事も問題が生じないときこそ、会計監査の成果が発揮されているときであり、・・・(中略)会計監査はまさに「日々平穏こそ吉」であり、成功裡に終えることのできた業務を外に誇示できないという宿命を担った専門職業である」たとえば、このドラマを商学部や経済学部に通う大学生が見ていたとします。ドラマをみて「うわぁ、やっぱり公認会計士ってカッコいいっす。俺も頑張ったらなれるかなぁ」と職業会計人を目指す動機付けになりうるためには、このドラマが監査業務という仕事上の充実感とか、自由競争によって会計士の能力に差が出ることなどが描かれることが必要だと思います。ちなみに、昨年の「ジャッジ」では最終回だけを見ても、島の将来を二分するような大きな紛争を裁判官の努力によって解決し、島民全体がWIN TO WINの関係を築き上げたところに裁判官としての職業上のやりがいが見事に描かれていたように思います。また、税理士さんであれば、(私もお世話になっておりますが)あのテこのテで税務署と格闘していただき、クライアントに対して「節税効果」を実感させてくれます。会計士さんが主人公のドラマということで、ストーリーはおそらく企業の会計不正を暴くことにフォーカスされるのではないかと想像しますが、会計士さんは、その能力によって不正を暴くとしても、その充実感はどこから得られるのか、人よりも監査能力が高いことを、どうやって会計士さんはアピールすることができるのか?(それとも、そんなアピールは必要ないのか?もしアピールする場がないのであれば、どうやって職業人としてのスキルアップへのインセンティブを持ちうるのか?)そのあたりはドラマのなかではどのように描かれるのでしょうか?とても興味があります。「行列ができる法律相談所」はあっても、「行列ができる有限責任監査法人」というものは、そもそもありえないんでしょうかね?
帝国データバンクの発表によりますと、2007年の倒産集計報告におきまして、またまた法令違反を原因とする倒産企業の数が急増した、とのことであります。(朝日新聞ニュースはこちら)ちょうど1年前に、こちらのエントリーにて、そもそも(法令違反よりも先に)経営が苦しくなったから不祥事に手を染めたのではないか、といった疑問や、不祥事がみつかりやすくなってきた社会情勢に起因するのではないかといった推測から、この報告には若干懐疑的であったわけですが、一般の倒産件数に比べて、圧倒的に伸び率が高いことや、この1年間の食品偽装→破産、民事再生といった報道内容などを顧みますと、たしかに法令違反(コンプライアンス違反)が法人の継続性に影響を与えているところは無視できないようにも思えてきました。なお、以下の表における法令違反に起因する倒産企業数は負債1億円以上のものに限ります。
上記朝日新聞ニュースにもありますように、企業の法令違反行為が発覚することで、CSR調達のように顧客から取引を打ち切られるケースもあり、また反社会的勢力との取引排除に代表されるように、金融機関からの融資継続の条件として法令違反行為の排除が要求されるなど、ビジネスの環境としてコンプライアンスが経営の命運を分ける場面も実際に増えているんじゃないでしょうか。さらに、上場企業の場合ですと監査の厳格化や内部通報制度の充実などによって、(昨年の推測どおり)そもそも法令違反が発覚しやすい土壌が次第に形成されてきたこともあるように思います。しかし、このまま倒産件数が漸増する傾向が続きますと、コンプライアンス不況なる情勢も現実味を帯びてくるようで、少し怖い気がします。
法令違反が世間に発覚する端緒として「内部告発」が圧倒的に多いことは皆様すでにご承知のことと拝察いたしますが、こういった内部告発に対して企業が真剣に向き合うための有益な資料としまして、内閣府国民生活局公益通報者保護制度ウェブサイトにて、公益通報関係裁判例集の作成検討会報告書(2年ぶりの改訂版)がリリースされているのをご存知でしょうか?(この報告書はたいへん参考になるところであります)多くの内部告発がマスコミに対して発信されている現実が集計結果として認識できますが、民間企業における内部通報制度の充実に向けた提言がなされているところも注目されます。とくに24ページから25ページあたりにおきまして、各企業が内部通報制度を整備し、かつ適正な運用を行う上で必要な点についての整理がなされておりますので、ここだけでも必見かと思います。内部通報制度が整備され、従業員に(通報制度自体が)信頼されているときには、内部通報を経ない外部通報を抑止できる可能性が高い、ということが様々な裁判例を検討した結果として提言されております。内部告発が命取りになる前に、自社のヘルプラインの運用改善のためにこういった良質な資料を活用されてはいかがでしょうか。
5月11日の「情熱大陸」では今年のベストマザー賞を受賞された勝間和代さんの日常生活が取材されておりました。番組最後の質問・・・「勝間さんにとって『お金』とは?」
さて、その勝間さんが日経ITプラスにて「IT関連企業はなぜ会計偽装が多いのか」と言うテーマで、ニイウスコー社の架空取引を例に検証されておりますが、そのなかで「不正のトライアングル」について紹介されていらっしゃいます。「不正のトライアングル」といいますのは、CFE(公認不正検査士)の資格を有しておられる方はご承知のとおり、人はどのような条件が整うと会計不正をはたらくか・・・、という問いに対する回答として、一般に�‘圧 ▲廛譽奪轡磧辞�不正の機会�I埓気寮掬�化要因の存在、が挙げられ、これら3つの条件がすべて整うと、不正リスクが非常に高まることを説明する概念であります。勝間さんが分析されているとおり、IBMと野村総研の下で生まれた「名門IT企業」であるニイウスコー社ですら、この不正のトライアングルの条件がすべてそろっていたことが理解できそうであります。(しかし短期間に多額の増資を行っているので、ニイウスコー社の場合、かなり悪質な気もしますし、条件たる「正当化要因」が認められるかどうかはちょっと微妙です)
ただ、この「不正のトライアングル」によって会計不正を説明する場合、「IT企業だから・・・」といった静的な分析だけでは若干不足しているように思います。IT企業でもしっかりしているところは多いですし、内部統制について配慮する若手経営者の方もいらっしゃいます。ぎゃくに製造業社でありましても、コンプライアンスについて全く配慮されない経営トップの方もいらっしゃいます。ということで、私はもうすこし「不正のトライアングル」については動的な視点についても重視すべきであると考えております。IT企業であれ、老舗メーカーであれ、上場審査を経ているわけですから、あの証券取引所で鐘の音を聞いて感動を覚えた時期があったはずであります。どんな経営者であれ、上場を果たしたときには、その栄誉をかみしめ、当社では絶対に粉飾決算などありえない・・・と心から確信していたに違いないでしょう。
たとえば法定監査で初めて監査法人さんに(地裁レベルではありますが)賠償責任が認められたナナボシの事件でありますが、粉飾を始めた当初は、上場前の厳しい監査法人さんのチェックが担当者の頭にこびりついておりましたので、用意周到に緻密な準備を怠らなかったのであります。ところが予想に反してあまりにもユルユルの監査だったために安心しきってしまい、2年目には約2倍、3年目には約3倍もの架空売上、架空利益を工作し、エスカレートしていくのであります。また、単独工作をもくろむも、粉飾が第三者に発覚してしまい、取引先に粉飾の協力者を得て、そこで集中的に繰り返されるという事態となるわけでありまして、「不正を行う機会の存在」というものも、監査法人の対応の変遷や手数料稼ぎに誘惑されたり、取引打ち切りをおそれてやむをえず粉飾に手を貸す外部協力者の誕生など、外部環境の変遷に起因するところのほうが影響度が大きいのではないかと考えております。また、「動機」につきましても、IT関連企業に限らず、上場後は株式時価総額の上昇へのプレッシャーについては同じだと思いますし、経営環境の変化に由来する「動機、プレッシャー」のほうが大きいのではないかと推測いたします。
勝間さんが指摘されているように、今後は内部統制報告制度の施行等により、こういった不正のトライアングルの示す条件が整いにくい経営環境となり、粉飾リスクが低減されるような状況になればいいのでありますが、企業は生き物であり、上記のような動的な変化によってどんな企業でも会計不正が生まれる要因を持っている以上は、少数株主権の確保、内部通報制度(ホットライン)の充実、社外取締役の増強、業務監査の強化などなど、コーポレートガバナンスの基本的な制度の充実によって、不正のトライアングルの条件が整った場合でも会計不正が生まれにくい体質を強化する必要があろうかと考える次第であります。
世間からどのように非難されようとも、顧客層にご迷惑をかけなければ、それなりに再生計画をもって経営が成り立っていくのではないか・・・・・と予想しておりました船場吉兆社でありますが、このたびの「提供料理の使い回し」が明るみに出たことで、その「顧客層」からも信頼を失うことになってしまうかもしれません。(読売ニュース「全店で食べ残しを使いまわしていた」 )
未だ不正競争防止法違反事件の捜査が進行していることと、私自身も若干の利害関係を有しているところですので、船場吉兆社がどうのこうの・・・といったお話は控えさせていただきますが、一連のニュースをご覧になり、「食べ残しの使い回しは違法ではなく、モラルの問題なんだ」と理解されている方も多いかもしれませんので、あえてひとこと私見を述べさせていただきますと、食材の使い回しは単なるモラルの問題ではなく、立派な詐欺罪に該当する違法行為だと考えております。ニュースでは農水省や自治体の行政官の方々が「法に抵触するわけではないが・・・」と「前置き」のようにおっしゃっていますが、それは各行政官の方々の責任範囲の法律を基準としたうえでの見解でありますので、警察マターの刑法犯に該当するかどうか、といったことへのコメントは含まれていないものと思われます。
たとえば食材が「最初に提供されたお客さん」に出された時点で、その価値はすべて失われるのでありまして、これをお客さんがたまたま食されなかったからといって価値が復活することはないですよね。したがって使い回しを提供されたお客さんにとっては無価値のサービスを、さも価値のあるもののように提供されるわけです。また、個々の食材の価値とは別に、提供されたサービス全体として「一品でも使い回しの食材が入っていれば食べる気がしない」のが一般人の感覚です。(高級料亭でも、大衆的な食堂でもこれは一緒です)このようなことは提供する側も十分認識できるでしょうから、使い回しの食材が含まれていることを黙って、さも全品が新たに作った料理であるかのように誤信させて提供し、正規の代金を頂戴する店側の行為は立派な「欺罔行為」であります。欺罔行為→(お客の)錯誤→処分行為→財物(サービス)の移転という流れは、「使い回し」行為にも成立するわけで、これは詐欺罪の構成要件に該当するものであります。ただ、実際に立件されないのは、食材の特定や、指示した者の故意の認定、お客さんの特定などが後日では困難であり、証拠を十分に捜査側が収集することがかなり難しいところにあるからだと推測いたします。
モラルと「違法行為」の差は大きいです。たしかに「違法行為」であっても、その違法行為につきましては、上記のとおり立件の可能性は低いわけですが、警察行政は、その「違法行為の疑い」を活用して堂々と強制権限を行使できるわけですから、またその調査権限を駆使されることで、企業にとって不都合な真実が新たに明るみに出る可能性が無限に拡大されるわけであります。これは最近の「児童ポルノ単純所持も違法」ニュースと同様でありまして、単純所持そのものを立件することが主な目的ではなくて、そのような単純所持している(合理的な疑いのある)パソコンの中身を勝手に覗いたり、そのパソコンを(所有者の承諾なくして)経由して、販売目的で所持している容疑者のパソコンまでたどりつく、といった捜査手法を合法とすることが主たる目的だったりするわけであります。「モラルか違法行為か」ということを議論する実益はけっこう大きいものであります。
連休中は、前のエントリーでご紹介した本のほかに、粉飾決算に関する過去の判例(法律雑誌に登載されているもの)や、会計監査人の法的責任論に関する過去15年ほどの論文などをまとめて読んでおりました。監査法人ではありませんが、監査を担当した複数の会計士さん方に「従業員による不正行為」を発見できなかった監査ミスで3000万円の損害賠償命令が出された判決(凸版印刷労働組合事件 判例時報1826号97頁以下)なども、このたびはじめて全文を読んでみました。こういった判例や論文を読むなかで、一番関心をもったのが「被告側の主張」であります。いわゆる監査法人側の主張ということでして、会計の専門家の方々が、どうやって裁判所も含めた法律家集団に対して「監査とはこういうものですよ」といった主張を展開しているのだろうか・・・、というところに実務家としては関心が出てきます。もちろん被告側にも代理人がついていらっしゃいますので、争点は形成されているわけですが、うまく「法律上の争訟」として議論がかみあっているのかどうか、このあたりは一度専門家の方に検証をしていただきたいと思います。
私は医療過誤訴訟の医師側(病院側)代理人としてはかなり多くの経験がありますが、こういった粉飾決算事件の被告側主張は、医療過誤の医師側の主張に似ているところが多いように感じました。被告本人と被告側代理人との信頼関係を裁判中ずっと維持することにけっこう苦労するのであります(笑)。たとえば瀕死の交通事故で運び込まれた患者に対する医師の注意義務と、「あなたも40万円でこんなにヘンシーン!」みたいな過大(っぽい)携帯広告を掲載している美容クリニックの医師の注意義務とでは「かなりの差異がある」と考えるのが常識ではないでしょうか。(もちろん、裁判のうえでも美容クリニックの場合には、かなり医師側に厳しい法律構成がとられております。)しかしながら、分業体制が進んでいる医療業界の先生方にとっては、「なんで俺だけが責任おわなあかんねん」「なんで誠心誠意やったのにミスやていわれるねん」「あんたはなんぼ手術したって『青山テルマ』にはなれんよ、って念押しして説明したのに、それでも私に責任があるといわれるんでっか?」と憤慨されます。医療業界においては医師の注意義務に「重い、軽いはない」 (注)と認識されている方が多いようでして、医療と法律の「かみ合わない部分」で苦労することが多いわけです。そのあたりの苦労が会計士さんの責任問題にも同様に横たわっているのではないかと想像いたします。また「期待ギャップ」といわれるところも、法律の世界では影響するところがあるかもしれません。
つい先日、当ブログでもご紹介したナナボシ粉飾決算事件判決(大阪地裁)でありますが、あの裁判の特長のひとつに行政処分が先行している(担当した監査に問題あり、とする金融庁の処分)場合に、その民事責任の過失認定にも影響があるのかどうか、という点がございます。現時点で詳細な検討は差し控えさせていただきますが、このナナボシ判決では、被告側(監査法人側)の主張がほぼそのまま認められ、行政処分は(公認会計士法の制度趣旨という行政目的の達成のために出されるものであり)、民事事件とは別個の法制度によって発令されるものであるから、行政処分を受けたことをもって直ちに被告の過失を推定する根拠とはならない、とされております。たしかに法制度が異なるわけですから「過失を推定する根拠」にはならないと思いますが、金融庁が平成18年に出した処分のなかで「問題がある」と指摘した箇所と、このたびのナナボシ判決のなかで裁判官が会計士の過失を基礎付ける事実として指摘している箇所はほとんど一緒(いずれも架空売上の実在性に関する監査手続。期間帰属の問題や回収可能性の問題とも考えられますが、おそらくいずれも実在性について最も重大な問題があるとしていることに間違いないと思われます)であります。法律上の「過失の推定」とまではいえなくとも、先行する行政処分が民事訴訟における注意義務の判断に何らかの影響を与えることは十分考えられるのではないでしょうか。ちなみに「過失が推定される」といいますのは、誤解をおそれずに言いますと「結果責任を問われる」ことに非常に近くなります(さきほどの医療過誤事件の例でいえば、美容整形の世界では、この「過失の推定」が働くとされる裁判官の判断もあるわけです)ので、さすがにここまでは言えないとは思いますが、裁判官が過失あり、と判断する資料のひとつにはなりうるだろうなあ・・・と。(まぁ、このあたりはいろいろと意見は分かれるところかもしれませんが)
改正公認会計士法が4月から施行され、懲罰的課徴金制度まで運用されるわけですが、監督官庁との関係悪化を回避するために今後も課徴金制度については争う機会というのはあまり増えることもないものと思われます。しかし、このブログで何度も申し上げておりますとおり、グレーゾーンは課徴金でバンバン処理する傾向にあるのが監視委員会の姿勢であり、また公認会計士・監査審査会の姿勢だと思われますので、このままでは先行する行政処分によって後から提起される民事訴訟(会社による訴訟、株主代表訴訟、株主による第三者訴訟など)におきまして、過失が事実上推定されてしまうような事態というのも考えられるのではないかと思われますが、いかがなもんでしょうか。内部統制報告制度をうまく理論武装につなげて、監査法人側で活用される道もあるかもしれませんね。
GW(ゴールデン・ウィーク)の真っ只中でありますが、今週はロースクールの演習もお休みということもありまして、以前からきちんと時間をとって勉強をしておこうと思っておりました本を熱心に読み進めております。
会計監査論(山浦久司 著 中央経済社)の第5版でありますが、粉飾決算における監査人(監査法人、公認会計士)の会社もしくは第三者への法的責任論を理解するにあたっては、まず(法律を離れて)会計監査の世界におけるリスクアプローチについて、きちんと理解をしておく必要があると考えております。監査手続におきましては理論よりも現場感覚を知りたいところでありますが、監査計画の策定に至るところまでは現時点における監査理論をぜひ知っておきたいと痛感する次第であります。会計士試験などでのベストセラーなのかどうかはまったく存じ上げませんが、企業会計審議会監査部会長だった方の著書ということで、もっともポピュラーな考え方によって書かれたものではないかと思い、本書を選択いたしました。リンク先の目次をお読みになるとおわかりのとおり、内容はとてもわかりやすく、会計専門職の方ではなくても、現時点における監査実務について、かなり飛躍的に理解が進むものと思われます。この本を読んで考えてみたいことは二つありまして、ひとつは「財務諸表監査における内部統制の検証と内部統制報告制度との関係」についてであり、もうひとつは「会計監査からみた監査役制度」についてであります。
詳細はまた関連エントリーのなかで追って述べることといたしますが、山浦先生が内部統制報告制度をどのようにみているか・・・、という会計監査論からみた内部統制報告制度への意見が掲載されておりまして、これが実に興味深いところがあります。(この「第5版」において、はじめて「内部統制監査」なる章が「四半期レビュー」と同時に設けられたんですね)とりわけ新しく始まる内部統制監査につきましては、�‘睇�統制の評価範囲については経営者と監査人が「協議」することになっているのだから、保証業務というよりも、合意された手続(agreed-upon procedures)に近いものではないか、�▲瀬ぅ譽�ト・レポーティングが採用されていないことから、経営者の報告と監査人の意見にねじれ現象が発生して読者に混乱を生じることになるのではないか、�F睇�統制監査と財務諸表監査とが同一の監査人によって一体的に行われることとなるので、「自己監査」の事態に陥る可能性を有するのではないか、等の意見が述べられております。いずれにしても、企業側の経済的負担を低減する目的で、いくつかの制度が採用されたことからみて、その運用次第では「形骸化」の芽ともなりかねず、注意が必要とされております。
ただ、財務諸表監査に伴う内部統制の検証のなかでは、あまり考えられてこなかった「全社的な内部統制の整備と運用状況の評価」や、「決算・財務報告の業務プロセスの評価」といったものが加わることについては大きな意義を認めておられるようですので、やはり内部統制報告制度においては、統制環境や財務・決算報告プロセスあたりの整備、運用評価がキモになってくることは間違いないと思われます。そもそも会計監査の専門の方々が中心となって内部統制報告制度を作ってこられたわけですから、今後の内部統制報告制度の行く末を検討するにあたっては、これまでの監査論発展の歴史を知ることも大切ですし、また財務諸表監査の本論と、内部統制報告制度では、どれだけ「異質」と受け取られているか、を知ることも重要な気がしております。
私的な関心としましては、内部統制報告制度が施行された後の粉飾決算事例における監査人の過失(法的評価としての)というものは、この新しい制度によって認められやすくなるのか、反対に認められにくくなるのか、といったところにあるのですが、まずこれを論じるにあたりましては、監査計画策定の前提条件となります虚偽表示リスクの評価と、内部統制監査制度とが、どのような関係に立つのか、そのあたりを法的評価を抜きにして常識的な意見による整理が必要になってくるものと考えております。そのうえで、法的評価を検討する際の論点としましては、�ヾ萄嵯戚鵑量榲�論と内部統制報告制度(不正、誤謬の発見は、監査契約上では副次的な目的とされてきたいままでの判例理論は、内部統制報告制度によって変容を受けるか)��統制リスクに関する法的評価に内部統制報告制度はどのような影響を与えるか、��いわゆるクリーンハンド原則、過失相殺理論は、内部統制報告制度によって適用場面が変わるのか、�ち桓凖�内部統制の評価によって、監査人には信頼の抗弁が成り立つのか、といったところではないかと予想しております。(まだまだこのお話は続きます)
昨年4月24日に東京証券取引所より「上場制度総合整備プログラム2007」が公表されましたが、その履行(予定)状況につきまして、問題点を整理する目的で一覧表にしてみました。(履行状況といいながら、マスコミで「検討中」として報道されているものも含んでいることにご注意ください。)また、私自身の記憶に頼りながら作成したものにすぎませんので、他の整備プログラム実施事項として、すでに履行済みのものがあるかもしれませんので、漏れがありましたらゴメンナサイです。なお、表の右側にA、B、Cと記しておりますのは、A;上場企業の行為自体を東証自主ルールによって規制しているもの、B;東証が原則的な行動指針を示し、その指針に反する企業行動については企業の合理的な説明を求めるもの、C;開示によって投資家の判断に評価を委ねることで、間接的に企業行動に影響を及ぼすもの、として区分しております。
第三者割当増資の開示強化につきましては、すでに以前のエントリーでも述べましたが、開示による投資家への注意喚起では市場の健全性が維持できず、具体的な行動規範として株主総会決議などを必要とすることになるのでしょうか。第三者割当増資による現存株主の利益確保(少数株主保護)については、制度に関する国際比較が必要でしょうし、また第三者割当を規制することで、エクイティファイナンスの機会が失われる点については議決権制限株式(配当優先株式)の上場制度を充実させることによってカバーする予定なのかもしれません。
また先日、親子上場に関する規制方針に関する報道がありましたが、これも親子上場(子会社の上場)をすべて禁止してしまう、という方向には進まないと思われますので、「望ましいものではない」という東証の基本原則を表明したうえで、もし上場する(上場を維持する)のであれば、子会社上場を維持するための合理的な理由を説明させる、という方向で詰めることになるようであります。会社法施行規則においても、公開会社が総会集中日に株主総会を開催する場合には、その理由を述べさせるなど(ただし特に理由があるときに限りますが)、こういった手法による規制というのはときどきみかけますね。
法律家として興味深いのは、やはり「不服申立制度」ですね。先日のニュースにもありましたが、特設注意市場銘柄として指定されるケースや、制裁金を課される場合などにも不服申立の対象になる、というものであり、また申立によって東証による処分の効力が一時停止される、というものであれば、けっこう利用されるのではないでしょうか。また、この表には記載しておりませんが、「公認会計士との連携強化」ということで、監査人交代時における開示の充実も実現したところであります。
上記以外にも、マザーズ上場企業について、一定期間経過後に成長が見込まれない場合に退出を促す方策とか、すでに上場している会社の内部管理体制の確認方法に関する整理を行うこととか、実際に検討されているのかどうか、進捗状況を失念しているところもございますので、詳しい方いらっしゃいましたらご教示いただけますと幸いです。また、本件は取引所と発行企業との関係だけを採り上げましたが、取引参加者(金融商品取引業者)との過怠金引き上げに関する話題や、公開会社法に関する話題なども、こういった整備内容と関連するところであり、個別の論点については追ってまたエントリーで検討してみたいと思っております。
ふたつ前のエントリーにおきまして、買収防衛策導入時に株主として是非聞いておきたいことをアップしておりますが、ズバリの回答が出そうな裁判(仮処分命令申立事件)が始まりそうですね。(4月23日付け原弘産リリース「日本ハウズイング株式会社の株主名簿閲覧謄写仮処分命令申立事件について」)少し長いですが、仮処分命令申立書がズバリそのまま掲載されております。事前警告型の買収防衛策の適法性を裁判所がどのように考えているか、この仮処分の判断過程において少しだけでも垣間見えてくるんじゃないかと期待をしております。私は月曜日のエントリーで書きましたとおり、この裁判の債権者側のご主張とほぼ同意見でありますので、事前警告型のライツプランが「勝てる防衛策」であるためには、すくなくとも同業他社によるTOBが前提となるケースでは、競争関係にあることを理由とした株主名簿の閲覧拒否は「すべきではない」ではなく「できない」と考えるのでありますが、さて債務者側はどのような反論をして、また裁判所はどのように判断するのでしょうか。今後の展開が非常に注目されるところであります。(ごあいさつ、ここまで)
(さて、ここからは野村證券インサイダー事件の続きでありますが)昨日のエントリーでは「社員のインサイダー取引を防止するのは内部統制の限界ではないか」といった趣旨のことを書きましたが、今朝の日経新聞(4月23日)を読みますと、野村インサイダー事件にあたり金融庁が「法人の責任」に関する調査を開始しており、行政処分に発展する可能性もある、とされております。これに対して野村側は「あくまでも個人の責任」と公表しておられるようで、メロさんがコメントされているとおり、行政処分を受けることをなんとか回避される意図があるのかもしれませんね。いずれにしましても、今回の事件が元社員によって社内調査も奏功しないほどに巧妙な手法によってなされたものであり、果たして野村證券においてこれを阻止できなかった法人としての責任の有無に関心が集まっているようであります。
しかし、昨日のエントリーで述べましたとおり、野村證券におけるこのたびのインサイダー問題が内部統制の限界事例であり、法人としての責任を問えないとなりましても、私は元社員らの刑事事件だけでは済まないように思います。とくに企業情報が集まるところで「会社としては止めることができない」情報漏えいが発生するわけですから、そうなりますと情報を受領した本人によるインサイダー取引問題だけでなく、利益相反関係にある相手方企業や関連企業にも情報が「筒抜け」になる可能性がありますよね。そのような事態が現実化すると、インサイダーどころの話ではなく、顧客企業に対して大きな損害を与えることになるわけでして、結局のところもし、今回の事件が元社員らによる「個人的な行為」で済んでしまった場合、「付随業務」として投資銀行業務などを行う証券会社全体の「利益相反取引の禁止」というガバナンスと内部管理体制構築の問題に発展するのではないでしょうか?少なくともシステムの構築によって大きなリスクを回避できるのであれば、できるだけのことをやって顧客の信頼回復に努める必要が出てくることになるのではないかと。
約2年ほど前に「阪神・阪急統合とコーポレートガバナンス」なるエントリーで、当時阪神電鉄のM&Aアドバイザーを務めていた大和證券SMBCが、阪急電鉄側のTOBにおける公開買付代理人を兼任されていたことについて疑問を呈しておりましたが、ある方よりメールにて「証券会社はそれほど利益相反ということについて関心はない」とのご意見を頂戴しておりました。しかし2006年10月には、日経BIZの佐山先生のコラムにて「認識うすいM&Aにおける利益相反問題」なるご意見を拝読し、やはり証券業界における利益相反問題については、一応検討されるべき課題なのだと認識したような次第であります。このたびのような情報漏えいを証券会社が自律的作用によって防止しえないものであるならば、利益相反問題については企業の信用を一気に落としてしまうような重大なリスクを抱えることになるわけでして、そこまで事件が発展してしまいますと、おそらく証券会社の仲介機能以外の営業利益に大きな影響が出るのではないでしょうか。
ということで、証券会社の今後の営業のことをかんがみますと、このたびのインサイダー事件につきましては、組織的ミスを認めたうえで、今後の内部統制システムの改善策を提案すること(および行政処分を甘受すること)で信用回復をはかっていくことがベストの対応ではなかろうかと思われますが、いかがでしょうか。
今週の放電塔・・・リーマンさんと丸紅さんとの紛議を見る視点にもう少しツッコミを(苦笑):「放電塔(法務版)」とか創設を検討していただけないかと(爆) (法務の国のろじゃあ)
これはリーマンさんと丸紅さんとの紛議の余波?なのかな・・・ファイティング・ブル・インベストメント社の社債償還についての疑義(メディカジャパン社さんによるリリースより) (法務の国のろじゃあ)

 

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