追い込むとは?/ ノーローン
[ 286] 世に倦む日日 : 「解散総選挙に追い込む」の嘘 − 「ねじれ国会」の操作と隠蔽
[引用サイト] http://critic3.exblog.jp/8291847/
チベット暴動と北京五輪ガソリン国会と後期高齢者医療新自由主義と福祉国家ワーキングプアと社会保障山口県光市母子殺害事件福田政権・2008年総選挙米国大統領選挙田中宇と世界金融経済イージス艦衝突事故イスラエルのガザ侵攻岩国市長選挙防衛省疑獄事件大連立協議と小沢辞任民主党 ・ 2007年参院選安倍政権憲法 ・ 皇室戦争 ・ 昭和天皇 ・ 靖国問題韓国 ・ 北朝鮮 ・ 拉致共謀罪 ・ 教育基本法改正村上世彰インサイダー事件オー・マイ・カッシーニネット市民社会丸山真男その他奈良紀行 「加藤哲郎のネチズン・カレッジ」を読むと、中国政府が中国国内から「世に倦む日日」にアクセスできないように制限をかけているという情報があった。実際に加藤教授が滞在した北京・上海・長春のホテルで確認した体験談が紹介されている。事実なら非常に残念なことだが、アクセス解析を調べてみると、3月に入ってから中国語環境からのアクセスが激減している。通常、ブログへの中国語環境からのアクセスは全体の0.1%ほどあり、英語環境からの4.2%に次ぐ多さとなっていたが、3月はほとんど来訪者がなかった。私は、中国の(日本語のできる)読者にこそブログを読んでもらいたいと思っている。中国には日本語の堪能な人が本当に多い。現在は逆転してしまったかも知れないが、5年前は英語人口よりも日本語人口の方が多かった。特に改革開放時代初期に日本語を習得された方の中に優秀な人物が多い。私は常に中国からの読者の眼を意識している。中国社会科学院日本研究所の関係者の方が記事をご覧になられていたら、ぜひブログへのアクセス制限を解除するよう取り計いをお願いしたい。新年度になり、一ヵ月ぶりに政局を眺めてみるが、ずっと目を離していたために少し様子が掴めない感じがある。テレビでは毎日のように政局報道をやっている。確かに、仕事と生活に行き詰まった父親が家族を惨殺する一家心中の事件や、母親がわが子を刺殺したり絞殺する事件の報道をテレビで見るよりも、浮薄で軽っぽい政局報道の方が、茶の間のバックグラウンド映像として精神的負担がなく、無難に向き合えるコンテンツではあるだろう。しかし、それに踊らされて騒ぐネットの人間たちは、私から見れば滑稽で笑止だ。5月に解散総選挙があると騒いでいる。小沢一郎とマスコミの話を真に受けて、民主党応援団がネットで燥いでいる。 7月の参院選のあと、小沢一郎と民主党は何度同じことを国民に言ってきたか。参院選の民意を追い風に9月の臨時国会冒頭に解散総選挙に追い込む。12月にインド洋給油問題で福田政権を追い詰めて解散総選挙を余儀なくさせる。1月正月明けに給油問題のヤマが来て福田政権は解散総選挙に追い込まれる。民主党はガソリン国会で解散総選挙の照準を3月に合わせた。思い返しただけで、マスコミと民主党から流された「解散」は、9月、12月、1月、3月とこれまで4回も言われ、期待させながら4回とも実現せずにズルズル延期された。小沢一郎が言う5月の解散総選挙を信用している人間は、渋谷のキャッチセールスで何度でも詐欺の被害に遭う人間ではないか。小沢一郎が言っている「解散総選挙」は真っ赤な嘘だ。これは自己の党内での求心力を維持するための「道具」であり、選挙の緊張感を演出することで民主党代表の座を維持しているに過ぎない。スターリンが権力の維持のために常に戦争の危機を煽った政治の論理と同じである。 解散があるぞ、選挙があるぞと小沢一郎が言う。朝日新聞が、9月政局、12月政局、1月政局、3月政局、5月政局と書く。星浩が「報道ステーション」でそれを視聴者に面白可笑しく繰り返す。小沢一郎が代表でないと選挙が怖い民主党の議員が、小沢一郎と執行部の下に(擬似的に)結束する。そういう構図だ。そして福田首相の方は、そうした民主党の事情を知ってか知らずか、民主党とマスコミが主導して演出する「政局の危機」を切り抜けることによって、9月、12月、1月、3月と設定された政局の危機を回避した既成事実によって、異常に支持率の低い政権を巧妙に延命しているのである。ある意味での出来レースの政治なのだ。今度は5月に「政局の危機」が設定された。マスコミが福田政権を叩き、ブログ左翼がネットで福田首相を罵倒し、国民の関心が政局報道に引き寄せられる。しかし、道路問題の次は年金問題か何なのかわからないが、5月政局も簡単にパッシングスルーされるのだ。そして泰山鳴動して何事もなく国会は静かに閉幕する。 小沢一郎が睨んでいるのは9月の民主党代表選で、そこでの再選こそが最大の政治的眼目である。衆院総選挙は2009年の9月にある。そこまで自分の党内権力を引っ張るべく、2ヶ月か3ヶ月に一度の「解散政局」を大袈裟に吹聴して、あの手この手で「解散政局」をリアルに宣伝、演出して行く。福田首相の方は、民主党の攻勢を受けてそれを回避する政治によって権力を繋ぐ。要するに解散などないのだ。それはカードである。ルアーである。小沢一郎の最終目標は大連立であり、大連立の闇将軍の地位に座ることで、全ての政治はその情勢を作るための将棋の一手一手でしかない。私は、野党が多数を占める参議院で民主党が一ヵ月も審議を止めたことに対して不満である。本当は自民党と裏で手を握っているのではないか。多くの問題を集中審議すべきだった。イージス艦の問題も参院では何も議論されなかった。結局、海自関係者の証人喚問はおろか参考人招致も実現しなかった。2月末の衆院での一日だけの集中審議で蓋が閉じられた。 救急医療体制の問題もこれだけ深刻になっているのに、遂に国会で議論されなかった。後期高齢者医療の問題も、日雇派遣労働者の問題も、生活保護切り下げの問題も、参議院の予算委員会で討議されなかった。これらの問題は野党が多数を占める参議院でこそ議論されるべきで、野党が政府を追及して制度を改善の方向に転換させる場面をわれわれ国民は見たかった。切迫した国民のいのちとくらしの問題は国会論戦の場に上がらず、表面から隠され、代わりに冬柴鐵三をボコボコにする道路特定財源と暫定税率の問題だけが毎日のニュースと政治番組の材料となった。国交省がサンドバッグになって国民の憂さ晴らしとガス抜きをする「政治」がロングラン興行された。財務省(と大蔵省出身の自民党と民主党の議員)の高笑いが聞こえる。道路特定財源のカネの分捕り合戦で一歩巻き返しに成功した。民主党を批判する声を誰も上げようとしないが、民主党が道路特定財源を通常国会の主要争点にして作戦を立てた理由を再度考える必要がある。 昨年末、国会とマスコミでは19年度の補正予算と20年度予算が問題になり、生活保護の切り下げや後期高齢者医療制度が取り上げられていた。参院選で負けて「国民のくらし」に重心を置くポーズを見せる必要に迫られた福田政権が、それらの負担増を半年間延期する補正予算を組んだことがあった。それに対して朝日新聞が猛然と批判を展開、高齢者医療負担増の凍結は改革に逆行するバラマキだと福田政権を詰り、一刻も早く消費税増税を決断するよう自民党と民主党の両方に迫っていた。朝日新聞が新自由主義新聞としての性格を剥き出しにした瞬間だった。小沢一郎の騒動が終わった後、民主党の党内で菅直人を中心に新年の国会戦略が協議され、暫定税率と道路特定財源が戦略目標として措定されたのに違いない。そうして「ガソリン国会」で今年の第一四半期の政治が埋め尽くされた。民主党はガソリン値下げで国民に福利を与えたと言い、特に地方の家計や事業者が受ける利益は大きく、国民から支持されていると言っているが、本当にそう言えるのか。 暫定税率が元に戻されなくても、減税分の税収が赤字国債で補填されれば、それは結局は国民の負担として返って来る。最も恐ろしいのは、財務省がガソリン税や新車取得税や車両重量税を撤廃する引き換えに消費税引き上げを図ることで、ひょっとしたら、自民党と民主党は裏でその線で合意している可能性もある。ガソリン価格が25円下がったとしても、消費税が10%に引き上げられたら家計には何の利益にもならない。私が民主党を疑うのは、この間、民主党がガソリン税の暫定税率廃止に伴う税収の穴を埋める具体的な提案を出さなかったことによる。暫定税率廃止で2.6兆円の穴があく。国の分が1.7兆円で地方の分が0.9兆円。国の分はともかく、地方分の0.9兆円についてだけでも、民主党は具体的な提案を示すべきだった。公共事業(道路建設)の削減リストを出すか、あるいは20年度予算の中から無駄な0.9兆円を削り取るべきだった。それを示さなかったということは、結局、ソリューションは赤字国債発行という結論になる。地方自治体が泣くか、赤字国債か。 この問題は、ガソリン国会が始まった1月下旬から言われていたことで、私も1/27の記事の中で指摘している。2ヶ月以上も延々と議論され、何度も週末の政治番組で討論されたが、民主党は遂に具体提案を出すことなく、それは政府の側の責任だと反論し、暫定税率は期限が来れば切れるのが当然という一般論で逃げていた。押し切っていた。0.9兆円の財源を項目化するには、叩き台なら一週間あれば十分だったはずだが、民主党は国会審議を開こうとせず、与党との協議にも応じず、突っ張ったまま暫定税率期限切れへと突入させて行った。議論は深まらず、具体論とならず、現実的な問題解決へとは向かわなかった。ネットの一部は、民主党の強硬策を支持し、国会を政局にして何が悪いとヒステリックに声を上げている。「ねじれ国会」の意義を強調し、小沢一郎の政権奪取戦術の剛腕を絶賛している。朝日新聞の星浩は、毎晩のように「報道ステーション」に出演し、「これが『ねじれ国会』のコストだと国民も理解してきましたね」などと解説、民主党の参院審議ボイコットを擁護していた。 二大政党制の責任政党論を言い、社会党の「何でも反対」路線を攻撃し、二言目には「野党は提案を出せ」と言っていた朝日新聞はどこへ行ったのか。民主党が財源の具体提案を出せなかったのには理由がある。それは、2.6兆円分の公共事業(道路建設)は無駄が多いから削れると言いながら、実際には削るリストを作れないのだ。「必要な道路」と「不要な道路」のプライオリティをリストにして提示することができないのである。具体論にはならないのだ。何故か。優先順位をつければ、順位下位の選挙区で票を取れないからである。北海道か、四国か、山陰か、南紀か、どこか分からないが、高速道路未整備の地域で、切り捨てられる地域が出て、そこの票が選挙で逃げる可能性があるからである。「ねじれ国会」という表象と言説が巧妙に操作され、政党と議員による国会のサボタージュが正当化されつつある。それが本当に権力闘争のためだったらまだいい。民主党が福田政権を解散総選挙に追い込むためのものだったら許せる。だが、それは違うのだ。 それは嘘である。本当に解散に追い込むのなら、昨年の国会で新テロ特措法を争点にしたとき、参院選の余韻が残って民意による両院の統一を求める気分が最高潮に達していたとき、間髪を置かず参院で問責決議案を出すべきだったのだ。問責決議案を可決すればよかったのだ。やるやると言いながら、民主党は12月にもやらず、1月にもやらず、3月は何も言わなかった。結局、生活保護や救急医療や後期高齢者医療制度や日雇派遣は国会で審議されることはなかった。野党が多数を握った参議院で、それらの切実な問題で政府与党を追及する政治は実現しなかった。一体、昨年夏の参院選挙で国民は何を求めたのか。どういう意思を政党に示したのか。何が問題になった選挙だったのか。格差と年金ではなかったのか。何度でもしつこく言うが、民主党が選挙に勝利したのは、格差と年金の問題を訴えたからであり、その問題解決を約束したからである。もう一度、民主党の参院選のマニフェストを見直してみよう。民主党の「3つの約束・7つの提言」には何と書かれているか。 そこにはガソリンの料金を引き下げますとは書いていない。「7つの提言」に掲げられた第一の政権公約は、「雇用を守り、格差を正す」である。第二の政権公約は、「医師不足を解消して、安心の医療をつくる」である。民主党はこの二つの政権公約を掲げて選挙を戦い、選挙に勝利して参院で多数を占めた。果たして、民主党はこの二つの政権公約の実現のために国会で奮闘していると言えるのか。この二つは、まさに国民の切実な要求であり、嘆きと悲しみを携えた国民の願いと祈りである。昨年の臨時国会で民主党が国会論戦の標的に据えたのは新テロ特措法の問題だった。これで解散に追い込むと言うから、われわれはそれに期待して国会を見守った。今年の通常国会で民主党が国会戦略の目標にしたのは道路特定財源と暫定税率だった。二度の国会で「格差」と「医療」は議論の中心に据えられず、その問題で野党が政府を追及する図はなかった。選挙から半年経ち、後期高齢者医療制度は何の抵抗も障害もなく施行されている。参議院で野党が多数の国会の権力状態がありながら。 おかしくないか。おかしいと声を上げる人間が一人もいないのは何故なのか。われわれは裏切られたのではないのか。 民主党のガソリン値下げパフォーマンスは、国民の不満をがす抜き役か????民主党のイメージする日本が見えないのはそのせいか??? 筆者の指摘どおりなら選挙後大連立もありか???宿敵自民党議員と一緒でもへらへらする民主党議員が平然としているくらいだから???? 今まで政府や地方行政の方々は、自分たちが作成した予算案が通らなければ、「地方がこんなにつらい目に遭っている」とか言われておりますが、ここで彼らが使われている「地方」とは何を意味するのでしょうか?特に地方になればなるほど、就業率に占める公務員の比率が高く、また彼らの日頃のスタンスを見る限り、「地方」=「役人」としか、受け取れません。第三セクターの問題、天下りの問題など、自分たちの都合の悪い所を覆い隠す為の「地方」という彼らの言葉ははなはだ不愉快であります。彼らが言う「不足する」という言葉そのものを実は信用できていません。ひょっとすると、自分たちの福利厚生の為の資金が「不足する」と意味ではなかろうかとさえ感じています。 今の国には借金返すのが何より先だろうに、支出を減らすのに豪腕揮うならまだしも、収入減らすのに豪腕揮った事をて賞賛する「有識者」がいたのには驚きでした。 |
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