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[ 532] Web2.0的創発性をふまえたマーケティング戦略の再構築 | All-in-One INTERNET magazine 2.0
[引用サイト]  http://i.impressrd.jp/e/2008/03/21/412

本連載では、前途遼遠、前程万里でその根底から議論の揺らぎを見せている「Web2.0」を軸に、次世代ウェブが孕むパラドックスとサイエンスとしての発展可能性についてさまざま角度で論評を企てていきたい。
もしビジネス・ブログに可能性を見出そうとするなら、目的と手段、結果と目的、目的相互の関係まで合理的に比較秤量しようとしていた目的合理的なマーケティング構造を取り払い、企業と消費者との間に設けられた壁を突き崩すことからはじめるべきではなかろうか。組織の外と内の敷居が曖昧になりつつある状況のなかで、あえてビジネスブログを公開することの意味は大きい。と同時にリスクも大きい。もし外に開かれた人格、人間としての顔を持ったビジネスブログでなかった場合、外からは単なる自作自演の行為にしか映らない。ビジネスブログは広報・マーケティングの機能としての役割と同時に、企業組織文化としての“社格”、“自律した個人”という、組織の文化を変えていく上でも重要な意味を持ったテーマとなりつつある。
こうした特異な役割を担っているビジネス・ブログを、マス・マーケティング的なPR言語で記述してもなんの効果も発揮できない。会話の芽を摘んでしまう器だけのプレスリリース記事になり果てるだけだ。ビジネスブログの書き手(語り手)は、企業と消費者の両方の特性を持つ。消費者としての価値観や人格を持った自律した個人であると同時に、そうした文化の創り手であり、演出家である企業文化の顔でもあるという二重の役柄を担うことになる。また、マーケティングコミュニケ−ションの現場に参加していながら、かつ、企業のマーケティングコミュニケーションについてメタレベルで語りかけなければならないということからすると、ミザナビーム(mise-en-abyme:大きな物語のなかにさらに小さな物語がある状態のこと)の構造であり、メタ言語[用語解説]的な構造ともいえる。
また、企業と消費者は、マーケティングという仕掛けを通して、企業行動と消費行動、企業組織と個人という質の異なるものどうしが全体システムの部分になる状態にある。そしてこれらの関係が共通の座標軸のもとで暫定的に適応を促していく様態にあり、いわば、オートポイエーシス[用語解説]でいう構造的カップリング[用語解説]の関係として理解できよう。
『ドン・シュルツの統合マーケティング』ドン・シュルツ/ハイジ・シュルツ 著、上木原弘修/州崎健/宮澤正憲 訳、ダイヤモンド社
このように、真に意味のあるビジネスブログやSNSは、メッセージとチャネルというシャノン流の固定的な枠組みでマーケティングコミュニケーションを捉えたり、目的と手段〜結果と目的という因果律の規準でのみ比較秤量しようとしてきた従来型のマーケティングを確実に分解していく。専門的な(ある意味アーティスティックな)一部のメンバーにより策定されていたマーケティング戦略から、ドン・シュルツ等が主張している統合マーケティング[用語解説](顧客を中心に据えてすべてのタッチポイントを統合するマーケティング戦略=IMC)や顧客への一貫したコミュニケーションで企業価値向上までを狙う次世代マーケティング論への架け橋となる可能性を持っている。
これにより、「企業」と「消費者」という単平なリレーションで事済んでいたマーケティング手法も、Web2.0を契機に、“人間としての顔”や“人格”を介在させながら、「潜在顧客」と「消費者」、「潜在顧客」と「潜在顧客」といった自己言及的なリレーションを形成させていく循環構造となってきている。従来の企業 vs 消費者という対向したリレーションシップから、たがいに相手の意図を囲ったり、引用・先取り・検証しあったりするアブダクション[用語解説]的なリレーションに変質するのではないか。
こうしたこれまでにない複雑なマーケティングリレーションを捉えには、「システムの作動の継続がシステムの境界を規定し、あらかじめシステムの内一外を区分することができない」、「システムがそれ自体で実現して行く多元論、それぞれが動きをつうじて連続的に多元性が出現する」というオートポイエーシス的な様態がその理解の助けになるかもしれない。Web2.0やブログマーケティングの本質を探求する本当の面白さは、オートポイエーティックな振る舞いに集約されている。
星の数ほどあるブロガー達の意識・主体性・目的性を通して、市場と社会を突き抜ける創発特性[用語解説]がひそんでいる。そして、ある種の観測し難い状況、捉えがたい状況をもたらす。企業と消費者間のコミュニケーションにおいて、サイの目が丁と出るか半と出るか分からない不確実な関係、必ずしも因果性は成立しない複雑な相互関係へ導いていくことが予想される。
Web2.0の世界が既存のマーケティングのパラダイムとフィットしない理由はこうしたギャップが存在するからである。もしビジネスブログという仕掛けが真に価値ある活動を発揮した場合には、市民と企業をごちゃまぜにした混沌とした状態、あるいは部分(断片)が全体を凌駕するような創発的な状態、さまざま次元との狭間をさまようアンビバレントな状態へと投げ出すことになることを予想しておかなければならないだろう。
ビジネス・ブログの導入は、企業、そしてメディアとマス・マーケティングの結合に対して、「コミュニケーション」というものの本質を考えるきっかけとなるだろう。また、マーケティング戦略においても、線形的な予測ではカタがつかず、非線形的な見方、創発性をふまえた戦略の再構築が求められている。
経営・ICTコンサルタント。「産・学・官リサーチセンター」主宰、ストラテジック・リサーチ代表取締役、国際印刷大学校客員教授。
バランススコアカードをはじめとする各種経営モデルの推進や導入支援、ICT活用、情報通信及び公共インフラのアドバイス、オントロジー工学、セマンティックWeb、Webサービス論の研究及び白書監修。インターネット草創期より、「ハイパーテキスト」の研究を開始。その後、SaaSの原型となるビジネスモデル(ASP・XSP等)やナラティブ・テクノロジー等、多層に渡って探求を深めている。
エコロジー/セラピー/世界遺産/ロハス等のエバンジェリストとしても活動し、領域横断で活動中。オートポイエーシス派、ゲーテ派を自任。
日本のインターネットの歩みを記録した貴重な資料、月刊誌『インターネットマガジン』の12年136号分の記事を公開。
米国シリコンバレー在住の森洋一氏による、米国企業を中心としたITビジネスとテクノロジー戦略の最新レポート。
Web2.0を軸に、次世代ウェブが孕むパラドックスと発展可能性についてさまざま角度で論評を企てる趣旨で綴っていく。
連載「ウェブサイエンス2.0の胎動」で使われているキーワードを、単なる意味だけでなくその背景まで詳細に解説。
この1週間の記事やテーマ、インターネット業界で起こった出来事やニュースの中から、注目トピックをピックアップ。
日本のインターネット史におけるエポックメイキングな出来事を中心に、世の中の動きや海外の大きなトピックを年表で掲載。

 

[ 533] Amazon.co.jp: 望ましい就業規則―実務と理論をふまえたモデル規定: 大内 伸哉, 藤原 稔弘, 櫻庭 涼子, 中山 慈夫, 小西 康之: 本
[引用サイト]  http://www.amazon.co.jp/a??a??a??a??a°±a\-e|?a??a�?aR?a??a?¨c??e≪?a??a?μa??a??a??a?¢a??a?≪e|?aR?-a?§a??-a?,a??/dp/4883722406

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