つなげとは?/ キャッシュワン
[ 274] みんなでつなげよう!ブログの輪
[引用サイト] http://bb.watch.impress.co.jp/cda/blogrelay/
ブログ関連サービスに携わる方にお話を伺い、ブログの世界をつないでいくインタビュー連載です。第19回は、SNS「mixi」を運営するイー・マーキュリー代表取締役の笠原健治氏です。 ――本日はよろしくお願いします。はじめに、mixiを立ち上げた経緯についてお聞かせください。 笠原:2003年の10月、当時は留学生だったエンジニアから「仲間うちでSNSが流行っている」という話を聞きました。自分でも「FriendSter」を使ってみましたが、ネット上に現実社会での人間関係やプロフィールを投影していくというサービスは非常にユニークだと感じました。 ただ、当時のFriendSterは、友人を見つけて友達の輪をつなぐ、というところで終わっていて、最初の1日2日は楽しいけれど、それ以降サービスを使い続ける理由がないように思えました。毎日サービスを使い続ける理由付けとしてコミュニケーション機能があれば、日常的に使うコミュニケーションインフラとして広がるのではないか。そう考え、FriendSterのような人間関係のビジュアル化という考え方をベースとして日記や足あと、コミュニティといった機能を追加した形でmixiをスタートしました。 ――ユーザーが200万を突破しましたが、現在のユーザー属性は。 笠原:200万突破のリリースでも公表していますが、世代では20代が57%と過半数を超えています。20代前半が伸びていて、それに20代後半、30代前半が続く形ですね。10代に関しては18才未満をお断りしているためにそれほど多くはありませんが、大学生は当初に比べて増えてきています。 ――招待制を採用しているmixiですが、「200万人もユーザーがいればインターネットと変わらない」という声もあります。 笠原:そういうご意見もあるようですし、この点はきちんとご説明させていただきたいと思います。mixiは老若男女を問わず多くの方々が日常的に使うコミュニケーションインフラを目指していたのであって、決して一部の限られた方達のサービスを志向していたわけではありません。 また、mixiの中では、ユーザーそれぞれが自分を中心にコミュニティを形成していて、そういったコミュニティがmixi内で無数に広がっています。ある人から見ればmixiは大学生が使っていて、ある人から見れば主婦層に人気があり、さらにある人からはライティングや編集関係の方が多いというように、人によってまったく見え方が違うのがmixiなのです。 そもそもmixi自体、インターネットと違うことをしたいのではなく、インターネットでより使いやすいコミュニケーションツールを作ることが目的でした。招待制についても、ユーザーを選びたいというのではなく、招待されて使い始めるほうがmixiをよりスムーズに楽しめると考えたからです。 現実社会のパーティーでもそうでしょう。誰も知らないパーティーにいくより、親しい人に誘われたほうがパーティーを楽しめて、誘った人も誘われた人も幸せになれる。mixiもできることならインターネットのユーザー全員に使って欲しいサービスですし、その考え方はサービス開始時からまったく変わっていません。 ――これだけユーザーが増えると、日記をインターネットに公開したいという要望もありそうですが。 笠原:そういう要望をいただいたこともありますが、mixiの日記は自分の友人に見せることを前提としているので、ブログのようなインターネットで公開する日記とは違う使われ方をしていると感じています。仮に日記の外部公開を行なうならば、それはmixi日記とは別に「mixiブログ」のようなサービスを立ち上げるべきかもしれません。ただ、そういったサービスを提供する予定があるか、というと今のところは未定です。 ――新たなサービスを立ち上げるほど、オープンなサービスにメリットはない、ということでしょうか。 笠原:外部に公開したいというニーズもあるので、それに応えられるメリットはあると思います。1つ問題があるとすれば、日記にコメントする人たちも、そこがmixiの中だからコメントしている、という心情があるかもしれません。この点はまだ検証できてはいませんが、そういったユーザーにとって、コメントがネットで検索されると知ったらどうなるのか、そうした問題も考えていく必要があると思います。 ――mixiプレミアム以降大きな機能追加はありませんが、新機能の予定は。 笠原:プレミアム以降も新機能やサービスを搭載しようとしているのですが、実際は細かい改良に留まっているところがあります。ただし、その間もバックボーンのシステムにはかなり改良を加えています。 この1年間で、mixiのユーザー数もページビューも10倍に伸びました。日記の更新数も1日36万件近く、正確な数字ではないですが、ブログ事業者のブログ数を足し合わせたくらいの数はあるのではないでしょうか。 ユーザー増加に合わせて、mixiの負荷も非常に高まっています。また、ユーザーごとに日記を友人まで公開、友人の友人まで公開といった設定を動的に行なっていることも負荷を高める原因ですし、ユーザーにも非常にアクティブにmixiをご利用いただいています。そうした中で、いかにスケールアウトできる仕組みを作れるか、という点で改良を続けてきました。 今年の10月にはメンテナンスでご迷惑をおかけしたと思いますが、最近ではシステム負荷も対応が進んでいて、ようやく新機能を提供できるような状況になってきました。2006年には新機能を追加する予定です。 ――具体的にどのような新機能でしょうか。 笠原:今準備を進めているものは、友人や自分と同じ趣味を持つ人とのコミュニケーションを促進できるようなもので、かなり大きな機能追加です。完成度としては十分ではないベータ段階でのリリースになるとは思いますが、2006年の早い段階でスタートできる予定です。 ――mixiプレミアムのような上位機能という位置付けでしょうか。それともまったく新しい機能でしょうか。 笠原:そういう意味では、日記、コミュニティと並ぶような新たなサービス、という位置付けですね。 ――プレミアムの機能強化はいかがでしょうか。 笠原:携帯からのアルバム作成やメール更新機能の追加、細かいところでは日記で使えるタグの拡張などを行なっていますが、まだ十分には取り組めていないでしょう。プレミアムも早い段階で強化していきたいと思います。例えばフォトアルバムで言えば、アップロードツールなどの画像を簡単に投稿できる機能を追加していきたいですし、そうした新機能を準備できるだけの段階が整ってきているので、2006年の前半には機能強化も課題の1つです。 ――負荷対策でマイミクの最新日記が1件のみ表示に変更されましたが、その効果は。 笠原:表示を1件にしたことで、何分の一という大きさで負荷を解消できました。弊社の人間は誰ひとりとして、1件に制限するような機能変更はしたくなかったのですが、最新日記の通知という機能を続けるためにはそうせざるを得なかった、というのが現状です。 むしろその判断が遅れたために、22時から2時まで最新日記を表示できないといった事態を招いてしまいました。表示件数の制限以外に、何かできる対策はないのかと伸ばし伸ばしにしていた結果、対応が遅れてしまったという状況です。 最新日記の件数表示に関しては今でもご要望をいただきますが、将来的にはプレミアムであれば表示できる、もしくは誰でも表示できるというように、復活させたい機能ではあります。 ――mixiはまだベータサービスとの位置付けですが、すでにユーザーは200万を超えています。正式サービスへ移行する予定はあるのでしょうか。 笠原:特に予定はしていません。先ほどの最新日記表示もまだまだ改善を続けたい点ですし、予定している新機能もリリース後に第2弾、第3弾と改良を続けていく予定です。ユーザーからも多くの要望をいただいていますし、改善・改良を続けていきたいという意志を込めてベータ版の表記を継続しています。 ただ、何か新しい機能をテスト版としてリリースしたい時に、「そもそもmixiがベータ版ではないか」というやりにくさもありますので、テスト版サービスをリリースするための正式化、という可能性はあるかもしれません。また、2006年に予定している新機能はかなり大きめのものなので、そのタイミングでの正式サービス化という可能性もあります。ただし、サービスそのものを有料化して正式サービスに、ということは100%考えていません。 ――2005年はさまざまなSNSが登場しましたが、注目しているSNSはありますか? 笠原:SNSというサービスの特性上、同じコンセプトのサービスでは、ユーザーが多いところがさらにユーザーを集めていくというために、同じコンセプトで立ち上げていくよりは違った切り口があると面白いでしょう。ユーザーの属性を深いところで切ったもの、例えばゲームのSNSのようにカテゴリ特化したものであれば、大規模にはならなくても人気が出る可能性があると思います。そうしたカテゴリ特化のものは、mixiの中のコミュニティとはまた違う盛り上がりを見せるのではないでしょうか。いろいろなサービスが登場する中で、切磋琢磨していければと思います。 ――韓国で圧倒的な人気を誇るサイワールドが日本でも正式サービスを始めました。 笠原:(18才未満が利用できないmixiと比べて)対象としている年齢層に違いはあると思います。サイワールドはより10代向けのサービスという気がしますね。そういう意味ではサービスの棲み分けがされていくのかもしれません。もちろん、面白いサービスであればmixiでも積極的に取り入れていきたいと思います。 ――サイワールドのようなアバター中心のサービスは日本に馴染むのでしょうか。 笠原:サービスとして自然になじむ形であれば良いと思いますが、アバターを前面に出したサービスは入りにくいかもしれません。 ――mixiでアバターのようなカスタマイズ機能を取り入れる予定は。 笠原:自然かつ必然性のあるサービスであれば成り立つでしょう。アバター的なアイテムではないかもしれませんが、より自然な形でのカスタマイズや飾り付けであれば可能性はあると思います。 ――OEMやASPなどmixiをシステム提供する考えは。 笠原:基本的に行なう予定はありません。開発や企画・プロデュースのリソースをmixiに集中したいというのが理由です。また、SNSのOEMやASPを提供する事業者も出てきているので、イー・マーキュリーとしてはそうしたサービスを新たに始めることよりも、mixiをよりよいサービスに高めるスピードを上げていきたいと考えています。 ――コミュニケーション機能が中心のmixiですが、RSSリーダーのような情報収集ツールの可能性は。 笠原:mixiでも外部のブログ情報を取り込むなど一部にRSSリーダー的な仕組みを実装しているので、それを拡張していけば比較的簡単に作ることができるでしょう。RSSだけではなく、mixiの中も外も含めて情報を探しやすくする機能は必要だと思います。 ――コミュニケーションツールとして「mixiメッセンジャー」の可能性は。 笠原:そういった要望もあります。RSSリーダーもメッセンジャーも次に実装を予定している新機能ではありませんが、mixiはコミュニケーション機能だけではなく、自分に興味のある情報を収集するというのもコンセプトの1つです。そういった方向性としてはRSSリーダーやメッセンジャーもあり得ると思いますが、mixiへのなじみやすさから行くと実装の優先順位はもう少し先になるでしょう。今度予定している新機能は、情報収集とコミュニケーションがどちらもできる中間的な機能です。 ――情報収集とコミュニケーションというと、ソーシャルブックマークのようなサービスでしょうか。 笠原:情報収集というところでは近いところにあると思いますし、ソーシャルブックマークもRSSリーダーも新機能のコンセプトや方向性にはかなり近いと思います。ソーシャルブックマークも手がけてみたいサービスではありますが、大事なのはサービスの見せ方でしょう。単にソーシャルブックマークを作っただけでは、自分がよく使うサービスを登録しただけで終わってしまうかもしれない。何のためにツールを実装してどのように使ってもらいたいのか、新機能を実装する時はその点を十分に考えた上で、見せ方も工夫していかなければいけないと思います。 ――mixiの収益面は。 笠原:広告収入が半数以上で、mixiプレミアムの料金がそれに続いています。比率や会員数は非公開ですが、広告で言えば公認コミュニティやTOPページの広告など、新しい試みも投入しています。収益ももちろん重要ですが、一番大事なのはユーザーが盛り上がること。公認コミュニティも面白いものを作っていきたいですし、記事広告もプレゼントを用意するなど、ユーザーにもメリットのある形を作っていきたい。不自然な広告表示も極力避けていきたいですね。今のところ、広告収益だけでも十分に黒字化できています。 ――2006年の目標は。 笠原:ユーザー数の伸び率を試算する時、単純に月ごとかけ算をしていくと、2007年には3,000万という途方もない数字になります。実際には係数によっても大きくかわりますし、それほど単純にはいかないと思いますが、ユーザーが増えることで責任も大きくなるので、アクセス負荷分散なども先手先手を打って対処していきたいと思います。ユーザーが増えることでサービスに対するリアクションも大きくなってくるので、そこはやりがいのあるところですね。ユーザーの希望にできるだけ応えていき、時には新機能なども追加していければと考えています。 ――本日はありがとうございました。 |
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